本論文は、(フォンノイマン)正則環の分離性問題(SP)を反例によって解決するために、逆極限という新しいツールを導入することを目的としている。分離性問題は1994年にAra, Goodearl, O’Meara, Pardoによって提起された問題であり、すべての正則環(または交換環)Rが、有限生成射影R加群A, Bに対して
A ⊕A ∼= A ⊕B ∼= B ⊕B =⇒A ∼= B
を満たすかどうかを問うものである。
本論文では、分離性問題を解決するまでには至らなかったものの、逆極限が正則環の性質を著しく劣化させる可能性があることを示す構成と結果が得られた。例えば、1970年代のBergmanの構成を基に、2017年にO'Mearaによって修正されたものを用いることで、正則ではあるが単位正則ではなくなるような、単位正則環の逆極限を構成した。これは、正則性を壊すことなく、有限生成射影加群のキャンセル性を劣化させることができることを示している。
論文では、逆極限の基礎、多様体の枠組みにおける逆極限、性質が劣化する場合の構成、連結写像が全射である場合の正結果、正則環の逆極限とその有限生成射影加群のモノイドの逆極限の関係、グラフ代数を用いた構成、分離的でない正則環の構成における中間段階の検討などが議論されている。
特に、逆極限における連結写像が全射である場合、極限の振る舞いははるかに良好であり、正則性、単位正則性、交換環の性質は保持されることが示されている。しかし、連結写像が全射でない場合、逆極限によってこれらの性質が失われる可能性があり、その具体的な構成が論文中で示されている。
他の言語に翻訳
原文コンテンツから
arxiv.org
深掘り質問