核心概念
ラパマイシンはTRPM8イオンチャネルの直接的な作用薬であり、TRPM8チャネルの新しい分子標的として同定された。
要約
本研究では、ラパマイシンがTRPM8チャネルを直接活性化することを明らかにした。
ラパマイシンはHEK293細胞やマウス感覚神経細胞においてTRPM8チャネルを活性化する。この作用はTRPM8特異的な拮抗薬AMTB によって阻害される。
細胞内パッチクランプ実験や飽和移動三重差分NMR法により、ラパマイシンはTRPM8チャネルに直接結合することが示された。
部位特異的変異導入実験から、ラパマイシンの結合部位はメントールやイシリンの結合部位とは異なり、電位センサー様ドメインとポアドメインの間の溝に位置することが明らかになった。
ラパマイシン誘導体のエベロリムスはラパマイシンと同じ結合部位に結合するが、TRPM8の活性化は弱い。
これらの結果は、ラパマイシンがTRPM8の新しい分子標的であることを示しており、TRPM8を標的とした新規治療薬の開発に役立つ可能性がある。また、ラパマイシンを用いた分子ダイマー化実験では、TRPM8の直接活性化に注意が必要であることが示唆された。
統計
ラパマイシンの濃度依存的なTRPM8活性化作用の半最大有効濃度(EC50)は5.2 ± 2.0 μMであった。
ラパマイシンによる電流活性化の半最大有効濃度は4.5 ± 1.8 μMであった。
引用
「ラパマイシンはTRPM8イオンチャネルの直接的な作用薬であり、TRPM8チャネルの新しい分子標的として同定された。」
「ラパマイシンの結合部位はメントールやイシリンの結合部位とは異なり、電位センサー様ドメインとポアドメインの間の溝に位置することが明らかになった。」