核心概念
腫瘍微小環境の条件であるpHの低下や乳酸の上昇は、マクロファージの概日リズムを変化させる。この概日リズムの変化は、マクロファージの腫瘍抑制機能に影響を及ぼす。
要約
本研究では、腫瘍微小環境の条件がマクロファージの概日リズムに及ぼす影響について明らかにした。
まず、マクロファージの活性化状態によって概日リズムが異なることを示した。抗炎症的な「M2型」マクロファージでは概日リズムが強化されるのに対し、炎症的な「M1型」マクロファージでは概日リズムが抑制される。
次に、腫瘍微小環境の特徴である酸性pHや乳酸の上昇が、マクロファージの概日リズムを変化させることを明らかにした。酸性pHはM2型マクロファージの概日リズムを強化するが、M1型マクロファージの概日リズムを抑制する。一方、乳酸の上昇は概日リズムに別の影響を及ぼす。
さらに、腫瘍関連マクロファージでは概日リズムの乱れが観察された。この乱れは、マクロファージ集団内の概日リズムの非同期性によるものと考えられる。
最後に、マクロファージの概日リズムが機能的であることが、マウスの膵がんモデルにおいて腫瘍増殖を抑制することを示した。
以上より、腫瘍微小環境の条件がマクロファージの概日リズムを変化させ、それが腫瘍増殖に影響を及ぼすことが明らかになった。この知見は、がん治療における新たな標的となる可能性を示唆している。
統計
腫瘍関連マクロファージでは、Arg1とCremの発現が上昇している。
M2型マクロファージでは、pH 6.5条件下でリズムの振幅が増大し、周期が短縮する。
M1型マクロファージでは、pH 6.5条件下でリズムの振幅が抑制され、周期が延長する。
腫瘍関連マクロファージでは、概日リズムの相関距離が有意に増大しており、概日リズムの乱れが示唆される。
引用
「腫瘍微小環境の条件であるpHの低下や乳酸の上昇は、マクロファージの概日リズムを変化させる。」
「この概日リズムの変化は、マクロファージの腫瘍抑制機能に影響を及ぼす。」
「腫瘍関連マクロファージでは概日リズムの乱れが観察された。この乱れは、マクロファージ集団内の概日リズムの非同期性によるものと考えられる。」