核心概念
レトロトランスポゾンの発現は生物学的加齢と関連している。
要約
本研究は、大規模な人間コホートのトランスクリプトーム及びメチロームデータを用いて、レトロトランスポゾン(RTE)の発現と加齢の関係を系統的に分析しました。
主な知見は以下の通りです:
RTEの発現と年齢の間には相関関係はありませんが、ほとんどのRTEクラスとファミリー(SINEを除く)は加齢関連遺伝子シグネチャースコアと相関しています。
SINEの発現は、複数のコホートで DNA修復経路の活性化と関連しています。一方、LINEとLTRの発現は炎症反応の活性化と関連しています。
RTEの DNA脱メチル化は加齢に伴って観察されますが、SINEの発現はDNAメチル化とは関連しません。
単一細胞トランスクリプトーム解析では、形質細胞がRTEの活性化と加齢の関係に関与している可能性が示唆されました。
超高齢者(110歳以上)では、ほとんどの免疫細胞でRTEの発現が低下しているものの、自然キラー細胞とT細胞では加齢関連シグネチャーが上昇しています。
以上より、RTEは生物学的加齢に重要な役割を果たしており、その機序には細胞種特異的な違いがあることが明らかになりました。
統計
加齢に伴うRTEの DNA脱メチル化が観察された。
LINEとLTRの発現は加齢関連遺伝子シグネチャーと正の相関を示した。
SINEの発現は DNA修復経路の活性化と関連していた。
引用
「レトロトランスポゾンの発現は生物学的加齢と関連している」
「SINEの発現はDNA修復経路の活性化と関連し、LINEとLTRの発現は炎症反応の活性化と関連している」
「超高齢者ではほとんどの免疫細胞でレトロトランスポゾンの発現が低下しているが、一部の細胞では加齢関連シグネチャーが上昇している」