オンライングループ討論におけるエトスとパトスー社会的分極化問題に関するコーパス

核心概念

オンラインでの議論における修辞的な訴求手段としてのエトスとパトスに着目し、それらの分析に基づいて社会的分極化の問題に取り組む。

要約

本研究では、オンラインでの議論におけるエトスとパトスの修辞的な使用に着目し、社会的分極化の問題に取り組んでいる。

3つの分極化しやすい話題(COVID-19ワクチン、気候変動、2016年米大統領選挙)について、RedditとTwitterのデータを収集し、マニュアル注釈を行った。
エトスの注釈では、発話者の人格や信頼性に言及する肯定的・否定的な表現を特定した。パトスの注釈では、聞き手の感情に訴える肯定的・否定的な表現を特定した。
エトスの注釈では、発話者の人格や信頼性に言及する否定的な表現が肯定的なものよりも多く見られた。パトスの注釈では、肯定的な表現よりも否定的な表現が圧倒的に多かった。
話題によってエトスとパトスの使用傾向に違いがみられ、政治的な話題ほど分極化が強い傾向にあった。また、プラットフォームによっても使用傾向に違いがみられた。
本研究で構築したコーパスは、オンラインでの議論における修辞的な戦略の分析や、分極化の問題に取り組むための有用なリソースとなる。

統計

全体で15,588文からなる。
エトスの注釈では、全体の20.1%の文でエトスの使用が確認された。そのうち4.6%が肯定的なエトスの使用、15.5%が否定的なエトスの使用であった。
パトスの注釈では、全体の31.0%の文でパトスの使用が確認された。そのうち5.3%が肯定的なパトスの使用、25.7%が否定的なパトスの使用であった。

引用

"Xatencio00: Lie number one goes to Hillary about women getting paid less for the same work."
"MelsyJ: At least i do not bully disabled people while displaying support for another country that has nothing to do with me."
"Splenda: And, yes, California did us proud today on the gas car phase-out, as Washington State did a few months ago!"

抽出されたキーインサイト

Ethos and Pathos in Online Group Discussions

by Ewelina Gaje... 場所 arxiv.org 04-09-2024

https://arxiv.org/pdf/2404.04889.pdf

深掘り質問

オンラインでの議論におけるエトスとパトスの使用傾向の違いが、どのような社会的・心理的要因によって生み出されているのか。

オンラインでの議論におけるエトスとパトスの使用傾向の違いは、社会的および心理的要因によって複雑に形成されています。エトスは話者の信頼性やキャラクターに焦点を当てるため、議論の中で他者の信頼性を支持または攻撃することが一般的です。一方、パトスは聞き手の感情を刺激することに焦点を当てるため、議論の中で聞き手の感情を肯定的または否定的に誘発することが一般的です。
エトスの使用が多い場合、議論は信頼性や尊敬に基づいて進行し、話者の立場や主張がより強調される傾向があります。一方、パトスの使用が多い場合、議論は感情や共感に基づいて進行し、聞き手の感情や意見に訴えかけることがより重要となります。
社会的要因としては、特定のトピックやプラットフォームによって異なる価値観や意見が存在し、それがエトスとパトスの使用に影響を与える可能性があります。また、心理的要因としては、議論の参加者の個々のバイアスや感情、過去の経験などがエトスとパトスの使用に影響を与えることが考えられます。これらの要因が組み合わさり、オンラインでの議論におけるエトスとパトスの使用傾向が形成されていると言えます。

オンラインでの議論におけるエトスとパトスの使用が、議論の展開や結論にどのような影響を及ぼすのか。

オンラインでの議論におけるエトスとパトスの使用は、議論の展開や結論に重要な影響を与える可能性があります。エトスの使用は、話者の信頼性やキャラクターに焦点を当てるため、他者に対する信頼や尊敬を高めることができます。これにより、議論の参加者は話者の主張をより真剣に受け止める可能性があります。
一方、パトスの使用は、聞き手の感情を刺激することに焦点を当てるため、議論に感情的な要素を導入することができます。聞き手の感情が動かされることで、議論の影響力や説得力が高まる可能性があります。特に否定的なパトスは、聞き手の感情を刺激して反応を引き起こすことができ、議論の結果に大きな影響を与える可能性があります。
したがって、エトスとパトスの使用は、オンラインでの議論の質や効果に直接影響を与える重要な要素となり得ます。適切に使用されることで、議論の深さや説得力を高めることができる一方、誤った使用や過度な使用は議論の偏りや混乱を引き起こす可能性があります。

オンラインでの議論における修辞的な戦略の使用と、現実世界での社会的行動や意思決定との関係はどのようなものか。

オンラインでの議論における修辞的な戦略の使用は、現実世界での社会的行動や意思決定にも影響を与える可能性があります。修辞的な戦略は、人々の意見や行動を形成する上で重要な役割を果たすため、オンラインでの議論における言語の使用は社会的影響を持つことがあります。
例えば、エトスやパトスの使用が過度に行われる議論は、人々の意見や感情に影響を与える可能性があります。特定のエトスやパトスのアピールが強調されることで、人々の信念や行動が変化することがあります。このような修辞的な戦略は、意思決定においても重要な要素となり得るため、オンラインでの議論の内容やトーンは社会全体に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、オンラインでの議論における修辞的な戦略の使用は、情報の伝達や意見の形成に影響を与えるだけでなく、社会的な関係や集団間の対立にも影響を及ぼすことがあります。特定のエトスやパトスのアピールが特定の集団や個人に対して行われることで、社会全体の意見や行動が変化する可能性があります。したがって、オンラインでの修辞的な戦略の使用は、現実世界での社会的行動や意思決定にも深い影響を与えることが考えられます。