核心概念
ex vivo 7テスラMRIの超高解像度データを用いて、自動化された表面ベースの領域分割と頂点ベースの解析を行い、アルツハイマー病関連疾患における脳構造変化と病理学的指標との関連を明らかにする。
要約
本研究では、アルツハイマー病関連疾患(ADRD)を対象とした82例の ex vivo 7テスラMRIデータセットを用いて、以下の取り組みを行った。
深層学習ベースの分割手法と FreeSurfer のパイプラインを組み合わせ、0.3 mm3の超高解像度ex vivo MRIデータに対して自動的な皮質領域分割を実現した。これは ex vivo MRIデータに対する初の大規模な表面ベースの解析手法である。
領域ごとの皮質厚さと、アミロイドβ、リン酸化タウ、神経細胞脱落などの病理学的指標との相関を解析した。内側側頭葉を中心に、有意な負の相関が観察された。これは、アルツハイマー病の進行に伴う皮質の萎縮パターンと病理学的変化との関連を示唆している。
頂点ベースの解析を行い、皮質厚さと病理学的指標との関連を空間的に詳細に評価した。内側側頭葉を中心に、有意な相関が認められた。
本研究は、ex vivo MRIデータに対する大規模な構造-病理相関解析を初めて実現したものであり、アルツハイマー病の病態理解に貢献する重要な知見を提供する。今後は、より詳細な解剖学的アトラスに基づく解析や、鉄やミエリンなどの超高解像度MRI指標との関連解析が期待される。
統計
本研究では82例の ex vivo 7テスラMRIデータを解析した。
被験者の平均年齢は76.7歳、男女各41名ずつであった。
死後経過時間は平均18.48時間、固定時間は平均256.70日であった。