核心概念
前部島皮質の神経活動のバランスと、前部島皮質から扁桃体や内側視床への投射経路が、条件付け恐怖行動を双方向的に調節する。
要約
本研究では、自由行動下のマウスにおいて、前部島皮質(aIC)の単一ニューロン活動を記録し、条件付け恐怖行動との関係を調べた。aICの錐体細胞の一部は恐怖反応(凍結行動)と正の相関を示す一方、別の一部は負の相関を示した。これらの「恐怖亢進」と「恐怖抑制」ニューロンは、層位置が異なり、扁桃体と内側視床に投射する別個の神経集団であることが明らかになった。
光遺伝学的操作により、aICの全体的な出力を亢進させると恐怖反応が増強し、抑制すると減弱した。さらに、aIC-扁桃体投射路を活性化すると恐怖反応が増強し、aIC-内側視床投射路を活性化すると減弱した。
これらの結果から、aICの神経活動のバランスと、aICから扁桃体や内側視床への投射経路が、条件付け恐怖行動を双方向的に調節していることが示された。
統計
恐怖条件づけ群の前部島皮質ニューロンの29.6%が「恐怖亢進」または「恐怖抑制」ニューロンであった。
恐怖条件づけ群の「恐怖亢進」ニューロンの活動と凍結行動の相関係数は0.81、「恐怖抑制」ニューロンは-0.68であった。
引用
「前部島皮質の神経活動のバランスと、前部島皮質から扁桃体や内側視床への投射経路が、条件付け恐怖行動を双方向的に調節する」
「aICの全体的な出力を亢進させると恐怖反応が増強し、抑制すると減弱した」
「aIC-扁桃体投射路を活性化すると恐怖反応が増強し、aIC-内側視床投射路を活性化すると減弱した」