核心概念
高階単純リー群において、ザリスキ稠密かつ非緩増加な非格子離散部分群が存在することが証明され、その成長指標がほぼ最適であることが示された。
要約
この論文は、高階単純リー群において、ザリスキ稠密かつ非緩増加な非格子離散部分群の初の例を提示しています。
研究の背景と目的
リー群の離散部分群の理論において、格子や緩増加部分群は重要な研究対象です。特に、高階単純リー群における非格子離散部分群の構成と性質は、未解明な部分が多く残されています。本研究では、SO(n, 2) (n ≥ 3) を例に挙げ、ザリスキ稠密かつ非緩増加な非格子離散部分群を構成し、その成長指標を解析することを目的としています。
研究方法
本研究では、以下の手順でザリスキ稠密かつ非緩増加な非格子離散部分群を構成しています。
- SO(n, 1) の一様格子で、SO(n−1, 1) の一様格子上で融合積となるものを考えます。
- この格子を SO(n, 2) に埋め込み、ベンディングと呼ばれる変形操作を施します。
- ベンディングによって得られた離散部分群が、ザリスキ稠密かつ非緩増加であることを示します。
研究結果
本研究では、以下の結果を得ています。
- 構成した離散部分群は、ザリスキ稠密かつ非緩増加である。
- 構成した離散部分群の成長指標は、SO(n, 2) の非格子離散部分群の成長指標の上限に近い値を取る。
結論
本研究により、高階単純リー群において、ザリスキ稠密かつ非緩増加な非格子離散部分群が存在することが示されました。また、その成長指標がほぼ最適であることも示され、高階単純リー群における離散部分群の成長と緩増加性に関する理解が深まりました。
統計
n ≥ 3 のとき、SO(n, 1) の格子は SO(n, 2) の非緩増加部分群である。
SO(n, 2) の非格子離散部分群の成長指標は、(n − 1)v1 + (n − 2)v2 で上から抑えられる。
SO(n, 1) の格子を SO(n, 2) に埋め込んだときの成長指標は、µ(H) 上で 2(n − 1)/n ρ となる。
引用
"We provide the first example of a Zariski dense discrete non-lattice subgroup Γ0 of a higher rank simple Lie group G, which is non-tempered in the sense that the associated quasi-regular representation L2(Γ0\G) is non-tempered."
"Moreover the growth indicator of σ(Γ) is nearly optimal, that is, it almost realizes the supremum of growth indicators of all non-lattice discrete subgroups given by property (T) of SO(n, 2)."