核心概念
ゼブラフィッシュの単倍体仔魚では、中心体の喪失と紡錘体の単極化が進行し、それに伴う有糸分裂の異常と細胞死が器官の発達を阻害する。
要約
本研究では、ゼブラフィッシュの単倍体仔魚における発達障害の根本原因を明らかにした。単倍体仔魚では、器官形成期以降に細胞死と有糸分裂の異常が顕著に増加することが分かった。詳細な解析の結果、単倍体仔魚では細胞サイズの減少に伴って中心体の喪失が進行し、その結果、紡錘体の単極化と有糸分裂の異常が引き起こされることが明らかになった。この有糸分裂の異常は、紡錘体checkpoint依存的な有糸分裂停止を誘発し、細胞増殖を阻害していた。さらに、p53の活性化も単倍体仔魚の細胞死に関与していた。一方、有糸分裂の異常や細胞死を抑制すると、単倍体仔魚の器官発達が改善された。以上の結果から、単倍体特有の細胞増殖の異常が、ゼブラフィッシュの単倍体仔魚における発達障害の主要な原因であると結論付けられた。
統計
細胞死マーカーのcleaved caspase-3陽性細胞は単倍体仔魚で著しく増加していた。
単倍体仔魚の p53 発現量は、UV照射による DNA損傷を受けた diploid仔魚よりも高かった。
単倍体仔魚の有糸分裂指数は、diploid仔魚に比べて2-3日齢で有意に高かった。
単倍体仔魚の細胞サイズが35 μm2以下になると、中心体数の減少と紡錘体の単極化が顕著に増加した。
引用
「単倍体特有の細胞増殖の異常が、ゼブラフィッシュの単倍体仔魚における発達障害の主要な原因である」
「単倍体仔魚では、細胞サイズの減少に伴って中心体の喪失が進行し、その結果、紡錘体の単極化と有糸分裂の異常が引き起こされる」