核心概念
ニューラルネットワークを用いて量子状態を生成することで、変分量子回路におけるバレンプラトー問題を効果的に緩和できる。
要約
論文情報
- タイトル:ニューラルネットワークが生成した量子状態を用いて、変分量子回路におけるバレンプラトー問題を緩和する
- 著者:Zhehao Yi, Rahul Bhadani
- 出版日:2024年11月12日
- 分野:量子コンピューティング
研究目的
本研究は、変分量子アルゴリズムにおける深刻な問題であるバレンプラトー現象を、ニューラルネットワークを用いて生成した量子状態を用いることで緩和することを目的とする。
手法
- ランダムな量子回路を構築し、量子状態を生成するために3つの全結合ニューラルネットワーク(FNN)と1つの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を構築した。
- ニューラルネットワークへの入力としてランダムなベクトルαを生成し、出力βを用いて量子状態を構築した。
- 量子状態をランダムに生成された量子回路に適用し、最終状態が非ゼロである確率を計算するコスト関数を用いて勾配を計算した。
- 勾配ベースのオプティマイザを用いてαとネットワークを更新し、コスト関数が収束するまで、または最大反復回数に達するまで上記のプロセスを繰り返した。
- ニューラルネットワークを使用しないモデルをランダム量子状態(RQS)モデルとして比較対象とした。
主な結果
- 量子ビット数が増加するにつれて、RQSモデルが収束するために必要な反復回数は爆発的に増加したが、NGQSモデルでは増加ははるかに小さく、収束に必要な反復回数は1桁減少した。
- 異なる深さの回路においても、RQSモデルはバレンプラトーの影響を受けたが、NGQSモデルはこの現象を効果的に緩和した。
- モデルのパラメータ数が多いほど、バレンプラトーの緩和効果に影響を与え、パラメータ数の増加はパフォーマンスの向上につながることが示唆された。
結論
ニューラルネットワークを用いて量子状態を生成するNGQSモデルは、コスト関数に関係なく、変分量子回路におけるバレンプラトー問題を効果的に緩和できることが示された。
意義
本研究は、変分量子アルゴリズムの性能向上に貢献する可能性があり、量子コンピューティング分野の発展に寄与するものである。
限界と今後の研究
- 本研究では、限られた数の量子ビットと回路の深さについてのみ実験を行った。
- 今後は、より大規模な量子コンピュータを用いて、より複雑な問題に対するNGQSモデルの有効性を検証する必要がある。
統計
量子回路の深さを30に設定。
各モデルについて、量子ビット数とブロック数に基づいて対応するランダム量子回路と必要な回路パラメータを生成。
回路パラメータは[0,2π]でランダムに選択。
このプロセスを10回繰り返し、各試行の反復回数を収集して平均を算出。
CNNとFNN2は、他の2つのモデルよりも多くのパラメータを持つ。
引用
"This indicates that the RQS model, using the defined cost function, has suffered a barren plateau."
"This indicates that the NGQS model can effectively mitigate the suffer from barren plateaus, regardless of the cost function."