この論文は、準周期的変調ホッピングを伴う一般化Su-Schrieffer-Heeger(SSH)モデルのトポロジー特性と局在特性を調査している。SSHモデルは、凝縮物質物理学において広く研究されている一次元モデルであり、特にトポロジカル絶縁体の研究において重要な役割を果たしている。
まず、論文では、実空間における巻き数計算を用いて、準周期的変調が系のトポロジーに与える影響を調べ、トポロジー相図を得ている。その結果、このモデルは、従来のトポロジカル絶縁体相に加えて、リエントラントトポロジカルアンダーソン絶縁体(RTAI)相とトポロジカルアンダーソン絶縁体(TAI)相という2つの新しいトポロジカル相を示すことが明らかになった。RTAI相とTAI相は、従来のアンダーソン絶縁体とは異なり、強い準周期的変調強度においても安定して存在することが特徴である。
次に、論文では、系の局在特性を、逆参加率(IPR)と正規化参加率(NPR)を用いて数値的に調べ、局在相図を得ている。その結果、このモデルは、従来の拡張相、中間相、局在相に加えて、リエントラント局在転移を示すことが明らかになった。リエントラント局在転移とは、系の無秩序の強さを変化させたときに、局在相から中間相を経て再び局在相へと転移する現象である。
論文では、リエントラント局在転移とTAI/RTAI相転移の間に密接な関係があることを指摘している。具体的には、リエントラント局在転移は、TAI/RTAI相転移点付近で起こることが数値計算から示唆されている。
最後に、論文では、運動量格子系における波束ダイナミクスを用いて、TAI相とリエントラント局在転移を実験的に検出する方法を提案している。具体的には、波束の平均カイラル変位と平均二乗変位を測定することで、TAI相とリエントラント局在転移を特徴付けることができることを示している。
この論文は、準周期的変調を伴う一般化SSHモデルが、リエントラント局在転移とTAI/RTAI相転移という2つの興味深い現象を示すことを明らかにした。これらの現象は、ゼロエネルギーモードの局在長の分岐と波束ダイナミクスによって特徴付けられる。この研究は、トポロジカル絶縁体とアンダーソン局在の関連性を理解する上で重要な進歩である。
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