核心概念
スピン軌道結合を持つ3次元d波超伝導体において、軌道とスピンの2つの異なるチャネルで引力相互作用が働く場合、超伝導状態は2つのチャネルの重ね合わせとなり、その基底状態は相互作用の強さの比によって、時間反転対称性を破る状態と保持する状態、さらに反転対称性の破れを加えることで3つの状態全てをとることができる。
本論文は、スピン軌道結合を持つ3次元d波超伝導体において、軌道とスピンの2つの異なるチャネルで引力相互作用が働く場合の基底状態を理論的に明らかにすることを目的とする。
スピン3/2を持つラッティンジャー模型を用い、軌道角運動量とスピンが(l=2, s=0)と(l=0, s=2)の2つのチャネルで引力相互作用を導入する。
ギンツブルグ-ランダウ(GL)理論に基づき、自由エネルギーを計算し、超伝導秩序変数の重ね合わせの角度と相互作用の強さの比の関係を導出する。
さらに、反転対称性を破る項を摂動的に加え、GL係数への影響を調べる。