核心概念
新興市場の金融市場では、高い変動性、構造変化、非線形依存性、非対称性、極端値の強い相関が特徴的である。このような特徴を捉えるために、条件付きエントロピーに基づく変化点検出手法を提案し、ウズベキスタンの商品市場と株式市場、ロシアの株式市場への適用を示した。
要約
本論文は、新興市場の金融市場における早期警戒システムの構築を目的としている。
新興市場の金融市場は以下のような特徴を持つ:
高い変動性
構造変化
非線形依存性
非対称性
極端値の強い相関
このような特徴を捉えるために、条件付きエントロピーに基づく変化点検出手法を提案した。具体的には以下の手順で行う:
目的変数の自己回帰モデルの残差を計算する
説明変数の過去情報を用いて残差の条件付き密度を推定する
推定した条件付き密度から条件付きエントロピーを計算する
条件付きエントロピーの時系列にShiryaev-Roberts統計量を適用し、有意な変化点を検出する
提案手法の拡張として、非線形性を考慮したLocal Linear Forestを用いる方法と、極端値に頑健な順位に基づく方法を検討した。
シミュレーションの結果、提案手法は従来の変化点検出手法に比べて優れた性能を示した。特に、重い裾野と尾依存性がある場合に、順位に基づく手法が有効であることが分かった。
実証分析では、ウズベキスタンの商品市場と株式市場、ロシアの株式市場への適用を行った。ウズベキスタンでは、商品市場からの情報伝達の変化が検出され、ロシアでは、ウクライナ紛争の影響による変化が検出された。
統計
ウズベキスタンの株式市場指数(UCI)の平均収益率は0.000、標準偏差は0.047である。
ロシアの株式市場指数(RTS)の平均収益率は0.000、標準偏差は0.084である。