核心概念
次数 √q + 1 のエルミート曲線の親戚である平面曲線の族を導入し、それらの基本的な性質、特に Fq 有理点の数が √q を法として 1 と合同であることを示す。さらに、そのような曲線の中で、Fq 上で定義された変曲点を二つ以上持つものを分類する。
本論文は、有限体 $\mathbb{F}_q$ 上で定義される次数 √q + 1 のエルミート曲線の親戚と呼ぶ平面曲線の族を導入し、その基本的性質を研究している。論文の前半では、エルミート曲線の親戚の定義と、その Fq 有理点の個数が √q を法として 1 と合同であるという重要な性質を示している。論文の後半では、これらの曲線の中で、Fq 上で定義された変曲点を二つ以上持つものを分類している。
エルミート曲線の親戚の定義
$q$ を素数 $p$ の偶数乗とし、$\sqrt{q}$ もまた $p$ のべき乗とする。行列 $A \in GL(3, \mathbb{F}_q)$ に対し、$A^*$ は $tA^{(\sqrt{q})}$ を表す。ここで、上付き添え字 $(\sqrt{q})$ は各成分を $\sqrt{q}$ 乗することを表し、上付き添え字 $t$ は転置を表す。
エルミート曲線は、$A = A^*$ という条件を満たす行列 $A$ を用いて、
$$(x^{\sqrt{q}}, y^{\sqrt{q}}, z^{\sqrt{q}})A\ ^t(x, y, z) = 0$$
と定義される平面曲線である。この場合、$A$ はエルミート条件を満たすという。
エルミート条件を忘れ、方程式 (1) は依然として $\mathbb{F}_q$ 上で次数 √q + 1 の非特異平面曲線を定義し、これを $C_A$ で表す。このような曲線をエルミート曲線の親戚と呼ぶ。
エルミート曲線の親戚の基本的な性質
射影同値性
すべてのエルミート曲線の親戚は、エルミート曲線自体を含め、$\mathbb{F}_q$ の代数的閉包 $\overline{\mathbb{F}_q}$ 上で互いに射影同値である。これは、Pardini [5, Proposition 3.7 の証明] によるものである。
有理点の個数
$\mathbb{F}_q$ 上の任意のエルミート曲線の親戚 $C$ は、$\mathbb{F}_q$ 有理点の個数 $N_q(C)$ に関して、次の特別な性質を持つ。
$$N_q(C) \equiv 1 \mod \sqrt{q}$$
変曲点を持つ曲線の分類
論文では、$\mathbb{F}_q$ 上で定義された変曲点を二つ以上持つエルミート曲線の親戚を $PGL(3, \mathbb{F}_q)$ まで分類している。分類では、3つのタイプが現れ、表1のようにまとめることができる。表では、最初の列は定理3.1の項目と一致する各タイプのラベルを示し、2番目は$C_A$の$\mathbb{F}_q$有理点の個数が割り当てられたタイプに属するものを示し、3番目は変曲点の個数を示し、4番目は各タイプにおける$\mathbb{F}_q$同値類の個数を示している。
タイプ
$N_q(C_A)$
変曲点
同値類
(a)
$\sqrt{q^3} + 1$
$\sqrt{q^3} + 1$
1
(b)
$\sqrt{q} + 1$
$\sqrt{q} + 1$
$\sqrt{q}$
(c)
$q + 1$
2
$\frac{1}{2}(\sqrt{q} + 1)(\sqrt{q} - 2)$
結論
本論文は、エルミート曲線の親戚という新しい平面曲線の族を導入し、その基本的性質を明らかにした。特に、有理点の個数に関する性質と、変曲点を持つ曲線の分類は、有限体上の代数曲線論において興味深い結果であると言える。
統計
エルミート曲線の親戚は、次数 √q + 1 の平面曲線である。
エルミート曲線の親戚の Fq 有理点の個数は、√q を法として 1 と合同である。
変曲点を二つ以上持つエルミート曲線の親戚は、3つのタイプに分類される。