核心概念
マトロイドを表す BDD と ZDD の構造的な関係を明らかにし、特定のクラスのマトロイドに対する BDD/ZDD の幅の上界を示した。
要約
本論文は、バイナリ決定木 (BDD) とゼロ抑制バイナリ決定木 (ZDD) を用いたマトロイドの表現に関する研究を行っている。
まず、BDD と ZDD の間の構造的な関係を明らかにした。具体的には以下の結果を示した:
ZDD のサイズは BDD のサイズ以下である。
ある BDD を 0-枝と 1-枝を入れ替えることで、その双対マトロイドに対応する BDD が得られる。
ある BDD を変形することで、その対応する独立集合族を表す BDD が得られる。
ある ZDD を変形することで、その双対マトロイドの独立集合族を表す BDD が得られる。
次に、特定のクラスのマトロイドに対する BDD/ZDD の幅の上界を示した。具体的には以下の結果を示した:
自由マトロイドの場合、幅は高々1である。
一様マトロイドの場合、幅は連結度関数の値に依存する。
分割マトロイドや入れ子マトロイドの場合、幅は連結度関数の値に依存する。
遷移マトロイドや層状マトロイドの場合、幅は無界である。
さらに、分割マトロイドや入れ子マトロイドに対して、適切な順序を選ぶことで、幅の上界を指数的に小さくできることを示した。
これらの結果は、マトロイドを表すコンパクトなデータ構造の設計に役立つと考えられる。
統計
マトロイドの連結度関数 λ(E⪯,i) は、BDD/ZDD の幅の上界を決定する重要な指標である。