核心概念
リー距離を持つグラフの距離-t 彩色数に対する固有値による上界を導出し、それをハイパーキューブグラフやリーグラフに適用することで、既存の結果を改善したり新しい知見を得ることができる。
要約
本論文では、グラフの距離-t 彩色数に対する固有値による上界を導出し、それを様々なグラフに適用している。
まず、一般のグラフに対する固有値による上界(定理1)と正則グラフに対する上界(定理2)を示す。この上界は、t-独立数に対する既存の上界を用いて導出されたものである。
次に、この上界を最適化する手法(式(4)、式(5))を示す。特に、t=2,3の場合には、最適な多項式を明示的に構成できることを示す(系4、系5)。
この固有値上界を、ハイパーキューブグラフQnに適用し、既存の結果(系7、系8)に対する別証明を与える。さらに、t=4,5の場合の新しい上界(系12)を導出する。計算機実験の結果、この新しい上界は既存の上界を改善できる場合があることが示された。
最後に、リーグラフG(n,q)の組合せ的・スペクトル的性質を調べ、リーコードとの関係を明らかにする。リーグラフに対する固有値上界(定理2)を適用することで、既存の結果を拡張している(4.3節)。
統計
ハイパーキューブグラフQnの固有値は{n, n-2, ..., -n}であり、その重複度はそれぞれ(n i)である。
リーグラフG(n,q)のジオデシック距離はリー距離と一致する。