核心概念
ショウジョウバエ表皮細胞は固有の機械受容性を持ち、侵害受容神経の活性化と侵害受容行動の調節に重要な役割を果たす。
要約
本研究では、ショウジョウバエ幼虫の表皮細胞が固有の機械受容性を持ち、侵害受容神経の活性化と侵害受容行動の調節に重要な役割を果たすことを明らかにした。
まず、表皮細胞の光遺伝学的活性化が侵害回避行動を引き起こすことを示した。表皮細胞の活性化は、侵害受容神経(C4da)をはじめとする様々な感覚神経の活性化を誘発した。さらに、表皮細胞の活性化は侵害受容神経の応答を増強し、機械的侵害刺激に対する過敏性を促進した。
次に、表皮細胞が固有の機械受容性を持つことを明らかにした。単離した表皮細胞は伸展刺激に応答し、細胞内カルシウム濃度が上昇した。この機械受容応答には、ストア作動性カルシウムチャネルOrai/Stimが重要な役割を果たすことが分かった。Orai/Stimを介したカルシウム流入は、表皮細胞からの伝達物質放出を促し、侵害受容神経の活性化と機械的侵害刺激に対する過敏性の誘発に寄与すると考えられる。
以上の結果から、ショウジョウバエ表皮細胞は固有の機械受容性を持ち、侵害受容神経の活性化と侵害受容行動の調節に重要な役割を果たすことが明らかになった。
統計
表皮細胞の光遺伝学的活性化により、幼虫の73%で侵害回避行動(c-bend、回転)が誘発された。
表皮細胞の熱遺伝学的活性化により、幼虫の75%以上で侵害回避行動が誘発された。
表皮細胞の活性化は侵害受容神経(C4da)、機械受容神経(C3da、Cho)、固有受容神経(C1da)の活性化を引き起こした。
表皮細胞の伸展刺激に対する応答は、細胞の51%で観察された。
表皮細胞のストア作動性カルシウム流入(SOCE)は、Orai/Stimチャネルに依存していた。Orai/Stimノックダウンにより、伸展刺激応答細胞の割合が有意に減少した。
引用
"表皮細胞の活性化は、侵害受容神経の活性化を誘発し、機械的侵害刺激に対する過敏性を促進した。"
"表皮細胞は固有の機械受容性を持ち、ストア作動性カルシウム流入(SOCE)を介してこの機械受容応答を示す。"
"Orai/Stimを介したカルシウム流入は、表皮細胞からの伝達物質放出を促し、侵害受容神経の活性化と機械的侵害刺激に対する過敏性の誘発に寄与する。"