核心概念
メチオニン欠乏時に転写因子Met4とその共活性化因子Met32が核内で凝集体を形成し、標的遺伝子の3次元的クラスター化を促進することで、それらの遺伝子発現を強化する。
要約
本研究では、メチオニン欠乏応答経路の中心的な転写因子であるMet4とその共活性化因子Met32が、メチオニン欠乏条件下で核内に凝集体を形成することを示した。
in vitroの実験では、Met32単独でも液-液相分離を起こすことが明らかになり、Met4もMet32の凝集体に取り込まれることが分かった。
これらの転写因子凝集体は、標的遺伝子のクラスター化を促進し、クラスター化された遺伝子の発現を増強することが明らかになった。
具体的には、Met4の標的遺伝子の一部が凝集体と共局在し、さらにそれらの遺伝子が3次元的に集積することが示された。
また、Met4の凝集体形成能を部分的に低下させた変異体では、凝集体に近接した遺伝子の発現が選択的に減少した。
以上の結果から、Met4とMet32の凝集体形成が、標的遺伝子のクラスター化と発現増強に寄与することが明らかになった。
統計
メチオニン欠乏時のMet4とMet32の凝集体形成は、それぞれの核内ピクセル強度の変動係数(CV)が有意に高い。
Met4とMet32の蛍光シグナルの相関係数は0.75と高い。
Met4とMet32の凝集体形成に関与するMet4のIDR領域の一部を欠失させると、凝集体形成が部分的に減少する。
Met4 ΔIDR2.3変異体では、Met4標的遺伝子の約半数で発現が有意に低下する。
引用
Met4とMet32の凝集体形成が、標的遺伝子のクラスター化と発現増強に寄与する。
Met4の凝集体形成能を低下させた変異体では、凝集体に近接した遺伝子の発現が選択的に減少する。