核心概念
TITAN5 は非典型的な小 GTPase であり、高速な GDP/GTP 交換活性と極めて遅いGTP加水分解活性を示す。TITAN5 は細胞内の様々な膜系に動的に局在し、小胞輸送に関与していると考えられる。
要約
本研究では、Arabidopsis の小 GTPase TITAN5 (TTN5) の機能特性と細胞内局在を解明した。
TTN5 は、典型的な小 GTPase とは異なる特性を示した。TTN5 は、GDP/GTP 交換反応が非常に速く、GTP加水分解反応が極端に遅いことが明らかになった。このため、TTN5 は通常 GTP 結合型の活性型として細胞内に存在すると考えられる。
TTN5 の野生型および変異体 (TTN5T30N、TTN5Q70L) をYFPタグで標識し、Arabidopsis とタバコ葉の表皮細胞で観察した。YFP-TTN5 は細胞質、核、細胞膜、ゴルジ体、多胞小体などの細胞内膜系に局在していた。活性型変異体 YFP-TTN5Q70L は、野生型と同様の局在を示したが、不活性型変異体 YFP-TTN5T30N は、ゴルジ体や多胞小体への局在が低下していた。
共局在解析から、YFP-TTN5 はゴルジ体、多胞小体、細胞膜などの膜系に動的に局在していることが明らかになった。特に活性型変異体 YFP-TTN5Q70L は、これらの膜系への局在が高かった。一方、不活性型変異体 YFP-TTN5T30N は、膜系への局在が低下していた。
以上より、TTN5 は非典型的な小 GTPase であり、高速な GDP/GTP 交換活性と遅いGTP加水分解活性を持つことで、細胞内の膜系動態に関与していると考えられる。
統計
TTN5 のGDP結合速度定数(kon)は0.044 μM-1s-1であり、TTN5Q70Lは0.401 μM-1s-1と9倍速い。
TTN5 のGDP解離速度定数(koff)は0.012 s-1であり、典型的な小 GTPase に比べ100倍速い。
TTN5 のGTP加水分解速度定数(kcat)は0.0015 s-1と極端に遅い。
引用
"TTN5 は非典型的な小 GTPase であり、高速な GDP/GTP 交換活性と遅いGTP加水分解活性を持つ"
"TTN5 は通常 GTP 結合型の活性型として細胞内に存在すると考えられる"
"YFP-TTN5 は細胞内の様々な膜系に動的に局在し、小胞輸送に関与していると考えられる"