核心概念
高分解能X線結晶学およびクライオ電子顕微鏡データを用いて、自動的に多様なタンパク質コンフォーメーションを同定し、モデル化することができる。
要約
本研究では、高分解能X線結晶学およびクライオ電子顕微鏡データを活用して、タンパク質の多様なコンフォーメーションを自動的に同定し、モデル化するためのアルゴリズムの改良について報告している。
主な内容は以下の通り:
qFitアルゴリズムの改良点
Bayesian情報量基準(BIC)を用いた最適な多コンフォーマー選択
B因子のサンプリングの導入
クライオ電子顕微鏡データ解析への対応の改善
改良したqFitアルゴリズムの評価
144件の高分解能X線結晶構造データを用いた検証
Rfree値の改善(76%の構造で改善)
幾何学的パラメータの改善(結合長、結合角など)
合成データを用いた検証
高分解能データでは多コンフォーマーの同定が高精度
低分解能データでは単一コンフォーマーの同定が安定
クライオ電子顕微鏡データへの適用
8件の2Å以下の高分解能クライオ電子顕微鏡構造に適用
既存モデルの多コンフォーマーを再現するとともに、新たな多コンフォーマーを同定
本研究の成果により、qFitアルゴリズムは高分解能X線結晶学およびクライオ電子顕微鏡データからタンパク質の多様なコンフォーメーションを自動的に抽出・モデル化できるようになった。これにより、タンパク質の構造-機能相関の理解が深まることが期待される。
統計
144件の高分解能X線結晶構造データのうち、76%でqFitモデルのRfree値が改善された。
qFitモデルの結合長RMSD中央値は0.007Åで、deposited modelの0.010Åよりも小さかった。
qFitモデルの結合角RMSD中央値は0.91°で、deposited modelの1.30°よりも小さかった。
qFitモデルのクラッシュスコア中央値は1.80で、deposited modelの2.50よりも小さかった。
引用
"qFitは高分解能X線結晶学およびクライオ電子顕微鏡データからタンパク質の多様なコンフォーメーションを自動的に抽出・モデル化できるようになった。"
"これにより、タンパク質の構造-機能相関の理解が深まることが期待される。"