本論文は、複数の再構成可能な知能表面(RIS)を用いて、基地局(BS)とユーザー間の通信を改善するシステムについて述べています。特に、BSカバレッジの低いエリアにおいて、RISを協調的に動作させることで、空間多重化ゲインとカバレッジを最適化する新しいフレームワークを提案しています。
従来の単一RISシステムでは、単一のRISがユーザーへの信号反射の役割を担っていましたが、本論文では、複数のRISを協調的に動作させることで、より柔軟で効率的な通信を実現しています。具体的には、各RISは、ユーザーを直接サポートするメインRIS(mRIS)と、他のmRISに信号を反射する中間RIS(iRIS)の2つの役割を動的に切り替えることができます。
本論文では、iRISがBSからの信号をmRISに向けて効率的に反射するための、RIS間ビームフォーカシングコードブック設計に焦点を当てています。このコードブックは、各RISの物理的な特性と、信号の到来角および出発角に基づいて、信号エネルギーを最大化するように設計されています。
コードブック設計には、線形位相シフトと最適化ベースの位相シフトの2つの方法が検討されています。線形位相シフトは、計算量が少なく、見通し(LoS)伝搬が支配的なシナリオに適しています。一方、最適化ベースの位相シフトは、計算量は増えますが、すべての伝搬パスに対して位相シフトを最適化するため、空間多重化ゲインを向上させることができます。
シミュレーション結果から、最適化ベースのコードブックは、マルチパス環境において線形設計よりも優れた性能を発揮することが示されています。これは、最適化ベースの設計が、様々な動作条件下で、利用可能な伝送パスを確実に活用することで、協調システムの空間多重化能力を高めているためです。
本論文では、協調RISシステムにおけるRIS間ビームフォーカシングコードブック設計について検討し、最適化ベースの設計が、マルチパス環境において優れた性能を発揮することを示しました。今後の研究として、mRISとiRIS間の動的な役割割り当てについて検討する予定です。
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