核心概念
異なる大陸の複数のOTICラボにおけるO-RAN分散ユニット(O-DU)のテストに関する本稿では、一貫性と再現性のあるテスト結果を得るための課題と解決策、そしてそこから得られたベストプラクティスが示されています。
要約
シンガポールとボストンにある二つのOTICラボが共同で実施した、Synergy Design TechnologyのO-RAN分散ユニット(O-DU)のオープン・フロントホール(OFH)CUSMプレーンに関するテスト研究について詳述した論文のサマリーです。
研究の背景と目的
- O-RANアーキテクチャは、オープン性、プログラマビリティ、ハードウェアとソフトウェアの分離を通じて、より柔軟で相互運用性が高く、インテリジェントな5Gおよび将来の無線ネットワークの構築を目指しています。
- O-RAN分散ユニット(O-DU)は、O-RANアーキテクチャの重要なコンポーネントであり、RLC/MAC/High-PHYレイヤーをホストします。
- 異なるベンダーのO-DUがO-RAN仕様に準拠し、相互運用性を確保するためには、一貫性と再現性のあるテストが不可欠です。
- 本研究では、異なる大陸にある複数のOTICラボでO-DUのテストを実施し、一貫性と再現性のあるテスト結果を得るための課題と解決策、そしてベストプラクティスを明らかにすることを目的としました。
テスト環境と方法
- テストは、シンガポールのAsia & Pacific OTICとボストンのNortheastern UniversityにあるNorth America OTICの2か所で行われました。
- 2つのOTICラボは、テスト環境と手順を可能な限り一致させるように調整しました。
- テストには、Synergy Design TechnologyのO-DU、Keysightのテスト機器、Calnexの同期テスト機器が使用されました。
- M-Plane、S-Plane、UC-Planeの各プレーンに対して、O-RAN ALLIANCEの仕様に基づいたコンフォーマンス・テストとパフォーマンステストが実施されました。
結果と考察
- コンフォーマンス・テストでは、ほとんどのテストケースにおいて2つのOTICラボ間で一貫性のある結果が得られました。
- 一方で、パフォーマンステストでは、仮想化技術やサーバーの種類の違いにより、スループットに差が見られました。
- また、テスト中にいくつかの課題にも遭遇しました。例えば、仕様の解釈の違い、テスト機器の互換性の問題、地理的に離れた場所での連携の難しさなどが挙げられます。
課題と教訓
本研究では、異なるOTICラボ間で一貫性と再現性のあるO-DUテストを実現するための課題と教訓が得られました。
主な課題
- テストの失敗原因の特定: DUT、テスト機器、仕様の誤り、テスト担当者の操作ミスなど、さまざまな要因が考えられるため、原因を特定することが難しい場合がありました。
- テスト結果の再現性: DUTとテスト機器の安定性に依存するため、DUTの再起動後や長時間の運用後、DUTの誤動作発生時などには、テスト結果が異なる可能性があります。
- DUTがサポートする機能に関する曖昧さ: DUTベンダーとOTIC間で、O-RANテスト仕様のテストケースに合格するために必要な機能に関する理解が異なる場合があります。
- 異なるタイムゾーンにおける技術サポートと連携: 異なるタイムゾーンにいることで、情報交換や迅速な問題解決が困難になる場合があります。
- O-DUテストの自動化の難しさ: O-DUの実装の自動化は、O-DUのベンダー固有のインターフェースに依存するため、O-RUと比較して自動化が複雑になります。
得られた教訓
- 仮想化とコンピューティング技術: 仮想化技術の選択は、システムのスループットに大きな影響を与える可能性があります。そのため、すべてOTICで同一の仮想化技術と構成を使用するか、両方の仮想化ソリューションで同様のパフォーマンスを達成するように構成を微調整することをお勧めします。
- パケットサイズとバースト性: スループットテストケースでは、各パケットのサイズが最大スループットに大きく影響することが明らかになりました。一貫した結果を得るためには、対応するパケットサイズとバースト性と組み合わせてスループットを測定することをお勧めします。
- 時間通りの到着の問題: 時間関連のテストケースを検証するには、S-Planeを使用して同期するようにRuSIMを構成することが不可欠です。また、テストを開始する前に、O-DUとRuSIM間でαとβの構成が同一であることを確認する必要があります。
- 2つのOTIC間のコミュニケーション: 合格または不合格の基準について誤解を避けるために不可欠です。2つのOTICの担当者は、テストのシナリオと潜在的な問題を明確に理解するために、テストの経験を共有する必要があります。
- Open RANシステムのテスト自動化: Open RANシステムでテスト自動化を利用することは、結果の予測可能性と一貫性を確保するために重要です。
結論
本研究は、異なる大陸にある複数のOTICラボにおけるO-RAN DUのテストにおいて、一貫性と再現性のあるテスト結果を得るための課題と解決策、そしてベストプラクティスを明らかにしました。これらの知見は、O-RAN ALLIANCEがOTIC全体で一貫性と再現性のあるテスト結果をアーカイブするためのより具体的なテストケースを定義するのに役立ちます。
統計
VMware ESXi仮想化技術を用いた新しいDellサーバーでは、古いDellマシン上のKVMよりもダウンリンクスループットが大幅に向上しました。
デフォルト構成では、VMware ESXi上のO-CUは、KVM上のO-CUよりも高いダウンリンクスループットを実現しました。
UTCとTAIの間には現在37秒のずれがあります。