本稿は、第6世代(6G)無線ネットワークにおいて重要な技術とされる、無線資源を共有して情報伝送とターゲットセンシングの両方の機能を実現する統合センシングおよび通信(ISAC)システムにおけるビームフォーミング設計に関する研究論文である。
従来のISACビームフォーミング設計は、完全な瞬時チャネル状態情報(CSI)を前提としていたため、実用的な動的環境での使用が制限されていた。本稿では、統計CSIに基づく多入力多出力(MIMO)ISACシステムのビームフォーミング設計を研究し、センシングと通信の観点から重み付けされた相互情報量(MI)を性能指標として採用している。
本稿の主な貢献は以下の点が挙げられる。
オペレータ値自由確率論を用いることで、統計CSIの下での重み付けMIの閉形式表現を導出している。
導出した閉形式表現に基づき、重み付けMIを最大化する目的で、送信ビームフォーミング行列を最適化する効率的な射影勾配上昇(PGA)アルゴリズムを提案している。
数値結果により、導出した閉形式表現がモンテカルロシミュレーション結果とよく一致すること、および提案する最適化アルゴリズムが重み付けMIを大幅に向上させることができることを示している。また、センシングMIと通信MIのトレードオフについても考察している。
本稿で提案された統計CSIに基づくビームフォーミング設計手法は、完全な瞬時CSIの取得が困難な実用的な動的環境下でのISACシステムの実現に大きく貢献すると考えられる。
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