本論文は、複数のモノスタティックMIMO基地局が協調して動作する統合センシング・通信(ISAC)ネットワークにおける、協調的なターゲット位置推定手法を提案しています。各基地局は、通信とセンシングの共存を可能にするMIMO-OTFS方式を採用しています。
従来の協調センシング手法では、各基地局で距離と角度を推定し、それを統合してターゲットの位置を推定していました。一方、本論文で提案する手法は、各基地局で受信した信号を融合センターで共同処理し、共通の座標系におけるターゲットの位置を直接推定する最大尤度(ML)推定法に基づいています。
提案手法の性能評価は、単一ターゲットシナリオにおける数値シミュレーションによって行われました。その結果、協調基地局数を増やすことで位置推定のRMSEが大幅に減少し、協調ML推定の有効性が示されました。具体的には、3つの基地局を用いた場合、単一基地局の場合と比較して、位置推定誤差は7分の1にまで低減されました。さらに、提案手法は、理論的な位置誤差限界(PEB)に非常に近い性能を達成しており、その効率の高さが示されました。
本論文の成果は、単一基地局のISACシステムと比較して、協調ISACシステムの測位精度を大幅に向上させる可能性を示唆しています。
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