核心概念
レイヤー4ロードバランサは速度と匿名性を提供しますが、クライアントのIPアドレスを隠蔽するため、ハッカー追跡を困難にします。しかし、PROXYプロトコルやXFFヘッダーなどの技術を用いることで、クライアントのIPアドレスを特定し、追跡の可能性を高めることができます。
要約
この記事では、ネットワークトラフィックの分散とセキュリティにおけるロードバランサの役割について解説しています。特に、レイヤー4とレイヤー7ロードバランサの違い、プロキシモードの仕組み、クライアントIPアドレスの保持方法、ハッカー追跡における課題について詳しく説明しています。
レイヤー4ロードバランサ
- トランスポート層(OSI参照モデルの第4層)で動作し、IPアドレスとポートに基づいてルーティングを決定します。
- ネットワークパケットの内容を検査せず、単にトラフィックを転送するため、「ダンプロードバランサ」とも呼ばれます。
- 速度と匿名性に優れていますが、バックエンドサーバーはクライアントのIPアドレスを直接取得できません。
クライアントIPアドレスの保持
- レイヤー4ロードバランサでクライアントIPアドレスを保持するために、PROXYプロトコルを使用できます。
- PROXYプロトコルは、クライアントのIPアドレスを格納した特別なヘッダーをTCPパケットに追加することで、バックエンドサーバーが元の送信元を特定できるようにします。
レイヤー7ロードバランサ
- アプリケーション層(OSI参照モデルの第7層)で動作し、HTTPヘッダー、Cookie、URLなどの情報に基づいてルーティングを決定できます。
- HTTPベースのアプリケーションに適しており、HTTPリクエストの内容に基づいて異なるサーバーにリクエストを転送できます。
- TLSの終端を行い、トラフィックを復号化して検査できるため、セキュリティの強化に役立ちます。
クライアントIPアドレスの取得
- レイヤー7ロードバランサでは、X-Forwarded-For (XFF) ヘッダーを使用してクライアントの元のIPアドレスを取得できます。
- XFFヘッダーは、クライアントのIPアドレスを各リクエストに追加する標準的なHTTPヘッダーです。
ハッカー追跡の課題
- ハッカーは、複数のダンプロードバランサを介してトラフィックをルーティングすることで、追跡を困難にする可能性があります。
- 各ロードバランサは重要な送信元IP情報を削除するため、元の送信元を特定することが難しくなります。
まとめ
ロードバランサはネットワークの重要な要素ですが、セキュリティ上の課題も存在します。レイヤー4とレイヤー7ロードバランサの違い、プロキシモード、クライアントIPアドレスの保持方法を理解することで、ハッカー追跡の可能性を高め、セキュリティを向上させることができます。
引用
"L4 load balancer? Fine! But i want to preserve the client ip?"
"Many people had the same issue, until Willy Tarreau from HAProxy created the PROXY protocol"