核心概念
従来の経験的ウェーブレット変換の2次元拡張における形状の制約を克服するため、任意形状の周波数領域分割に基づく新しい2次元経験的ウェーブレット変換(EWWT)を提案する。
要約
経験的ウォーターシェッドウェーブレット変換: 概要と応用
本稿では、画像処理とコンピュータビジョンにおける新しいマルチ解像度解析ツールである経験的ウォーターシェッドウェーブレット変換(EWWT)について解説する。
従来の経験的ウェーブレット変換(EWT)は、データから周波数領域の分割を学習することで、画像の特性に適応したウェーブレット基底を構築する手法である。しかし、既存の2次元EWTは、検出される分割の形状に制約があり、その適応能力が制限されていた。例えば、テンソルEWTは矩形、Littlewood-Paley EWTは同心円、Curvelet EWTは極座標ウェッジといった特定の形状にしか対応できなかった。
EWWTは、周波数領域の任意形状の分割に基づいて2次元経験的ウェーブレットフィルターを構築することで、従来のEWTの形状制約を克服する。
EWWTの仕組み
スケールスペース表現を用いた調和モードの局所化: まず、画像のスペクトルに対してスケールスペース表現を計算し、スケール変化の中で安定して存在する極大値を検出する。これらの極大値は、画像に含まれる主要な調和モードの中心を表すと考えられる。
ウォーターシェッド変換による任意形状の境界検出: 次に、検出された極大値をマーカーとしてウォーターシェッド変換を適用し、モード間の境界を任意形状の曲線として検出する。これにより、周波数領域を各モードに対応する領域に分割する。
任意形状のサポートを持つウェーブレットフィルターの構築: 最後に、検出された領域に基づいて、任意形状のサポートを持つウェーブレットフィルターを構築する。