核心概念
新規ビュー合成技術(NeRF、3DGS)は、従来の写真測量と比較して、森林シーンの3D再構成において効率性と品質の面で大きな可能性を秘めているが、高密度点群の生成や樹木パラメータの正確な抽出など、まだ改善の余地がある。
要約
論文の書誌情報
Tian, G., Chen, C., & Huang, H. (2024). Comparative Analysis of Novel View Synthesis and Photogrammetry for 3D Forest Stand Reconstruction and extraction of individual tree parameters. [Journal Pre-proof].
研究目的
本研究では、森林シーンの3D再構成において、新規ビュー合成(NVS)技術と従来の写真測量法の有効性を比較評価することを目的とする。具体的には、NeRFと3DGSという2つのNVS技術と、SfM+MVSを用いた従来の写真測量法を、処理効率、点群モデルの品質、樹木パラメータ抽出の精度という3つの観点から比較分析する。
方法
- 研究対象として、樹種や樹冠構造の異なる2つの森林プロット(落葉樹と常緑樹)を選定した。
- データ取得には、スマートフォンカメラとUAV搭載カメラを用いて、異なる視点から連続画像を取得した。
- 地上型レーザースキャナー(TLS)を用いて、基準となる高密度点群データを取得した。
- 3つの画像ベースの3D再構成手法を適用した。
- 従来の写真測量パイプライン(COLMAPのSfM+MVS)
- 新規ビュー合成ベースの手法(NeRFと3DGS)
- 各手法で生成された点群モデルをTLS点群と比較し、精度を評価した。
- 点群モデルから樹高と胸高直径を抽出し、その精度を評価した。
主な結果
- 処理効率:NeRFと3DGSは、従来の写真測量法と比較して、高密度点群の再構成において大幅な効率化を実現した。
- 点群モデルの品質:
- 3DGSは、NeRFや従来の写真測量法と比較して、高密度3D点群を生成する能力が劣っており、点群密度がまばらで、単木直径推定には不十分な場合が多い。
- 葉が密集した複雑な森林スタンドや樹高の高い森林スタンドでは、NeRFは優れた再構成品質を提供する一方、写真測量法では、樹木の幹の重なりや複数本の樹木の重複など、結果が不十分になる傾向がある。
- 樹木パラメータ抽出の精度:
- 3つの手法はすべて、単木の樹高パラメータの抽出において高い精度を達成しており、NeRFは樹高の精度が最も高い。
- 従来の写真測量法は、NeRFや3DGSと比較して、直径推定においてより高い精度を提供する。
- 画像の質(解像度と枚数)と視点の完全性は、再構成結果の質と樹木構造パラメータ抽出の精度に大きく影響する。
結論
本研究では、NVS技術(NeRFと3DGS)を森林シーンの3D高密度再構成に適用し、その有効性を検証した。NVS技術は、従来の写真測量法と比較して、処理効率と点群モデルの品質の面で大きな可能性を秘めていることが示された。しかし、高密度点群の生成や樹木パラメータの正確な抽出など、まだ改善の余地がある。
統計
COLMAPを用いた処理時間は、入力画像268~322枚の場合、450~700分であった。
NeRFの処理時間は、シーンの規模や画像枚数に依存せず、通常20分以内で完了した。
3DGSの点群数は200万点未満であり、COLMAPやNeRFと比較してまばらであった。
Plot_2_COLMAPモデルでは、樹木の重複により、実際の樹木数よりも多くの樹木が抽出された。
樹高の抽出において、NeRFはCOLMAPや3DGSよりも高い精度を示した。
直径の推定において、COLMAPはNeRFや3DGSよりも高い精度を示した。
3DGSの直径推定精度は、点群がまばらで幹部分がクラスター化しているため、最も低かった。