核心概念
本稿では、攻撃手法と防御手法の設計目標が類似している点に着目し、攻撃技術を応用することで、より効果的なプロンプトインジェクション攻撃への防御手法を提案する。
要約
攻撃技術を活用したプロンプトインジェクション攻撃への防御
書誌情報: Chen, Y., Li, H., Zheng, Z., Song, Y., Wu, D., & Hooi, B. (2024). Defense Against Prompt Injection Attack by Leveraging Attack Techniques. arXiv preprint arXiv:2411.00459.
研究目的: 大規模言語モデル (LLM) に対するプロンプトインジェクション攻撃の脅威の高まりを受け、効果的な防御手法の開発が急務となっている。本研究では、攻撃技術そのものを利用した、より堅牢な防御手法を提案する。
手法: 本研究では、無視攻撃、エスケープ攻撃、偽装完了攻撃、そして会話テンプレートを用いた偽装完了攻撃といった、既存のプロンプトエンジニアリングベースの攻撃手法を分析し、その仕組みを防御に転用する手法を提案する。具体的には、攻撃プロンプトを防御プロンプトとして利用し、注入された命令を無視するようにLLMを誘導することで、攻撃を無効化する。
主な結果: 提案手法を、直接攻撃と間接攻撃の両方のシナリオにおいて評価した結果、既存の防御手法と比較して、攻撃成功率 (ASR) を大幅に低下させることに成功した。特筆すべきは、最も効果的な攻撃技術に基づいた防御手法が最も優れたパフォーマンスを示し、特定のシナリオではASRをほぼゼロにまで減少させることができた。
結論: 攻撃技術を逆手に取ることで、より効果的なプロンプトインジェクション攻撃への防御が可能になることが示された。この発見は、今後、より複雑化する攻撃に対する防御策を設計していく上で、重要な指針となる。
今後の研究: 本研究では、プロンプトエンジニアリングベースの攻撃に焦点を当ててきたが、今後は、勾配ベースの攻撃など、より高度な攻撃手法に対する防御策の開発も視野に入れている。
統計
特定のシナリオでは、提案手法を用いることで攻撃成功率 (ASR) をほぼゼロにまで減少させることができた。