核心概念
UAVベース写真測量は、従来の変位計やレーザースキャナーと比較して、橋梁の変形をミリメートルレベルの精度で包括的かつ面的に定量化する費用対効果の高い手法である。
要約
研究目的
本論文は、UAVベース写真測量が、橋梁の構造健全性モニタリング、特に荷重下における形状変形計測において、十分な精度を持つ結果を生成できるかどうかを検証することを目的とする。
方法
- ドイツにある実験用桁橋「Concerto」に段階的に荷重をかけ、その変形を計測する実験を行った。
- 変形計測には、変位計、タキメトリ、地上型レーザースキャナー、UAVベース写真測量の4つの手法を用いた。
- 変位計は、最も正確な計測値を提供するものと想定し、他の手法との比較基準とした。
- UAVには、100メガピクセルのPhaseOne iXM-100カメラを搭載し、地上30mの高さから、地上画素解像度1.3mmの画像を取得した。
- 各計測手法の結果を比較し、UAVベース写真測量の精度と有効性を評価した。
結果
- UAVベース写真測量は、変位計の結果と1mm以下の差で、橋梁の変形を計測することができた。
- 地上型レーザースキャナーは、橋梁下面の表面の凹凸やノイズの影響を受けたが、全体的な変形形状は捉えることができた。
- タキメトリは、正確な点ごとの変位計測値を提供したが、面的な評価はできなかった。
- UAVベース写真測量は、橋梁上面の変形を面的に捉えることができ、橋軸方向だけでなく、横断方向の変形についても評価することができた。
結論
- UAVベース写真測量は、橋梁の変形モニタリングにおいて、従来の手法に匹敵する精度を持つことが示された。
- 面的な変形計測が可能であることから、従来の手法では困難であった、橋の捩れや局所的な変形についても評価できる可能性がある。
- UAVベース写真測量は、費用対効果が高く、効率的な橋梁変形モニタリング手法として期待される。
限界と今後の研究
- 本研究では、静的な荷重下における橋梁の変形計測を行ったが、動的な荷重下における計測精度については、今後の検討が必要である。
- UAVベース写真測量では、取得した画像の幾何学的歪みを補正する必要があるが、本研究では、市販のソフトウェアを用いて補正を行った。より高精度な補正手法を用いることで、計測精度を向上させることができる可能性がある。
統計
橋の長さ: 17.5m
橋の幅: 4.0m
橋の高さ: 0.8m
UAV飛行高度: 30m
地上画素解像度: 1.3mm
画像重複度: 80%
引用
"The comparison with reference data (displacement transducers) reveals a difference of less than 1 mm."
"We show that employing the introduced UAV-based monitoring approach, a full area-wide quantification of deformation is possible in contrast to classical point or profile measurements."