核心概念
同期型ハプティックコントローラーを用いることで、複数人ゲームにおいて、視覚情報に頼らずにプレイヤー同士の操作意図を共有し、協調的なゲームプレイを促進できる可能性がある。
要約
研究論文の概要
本論文は、同期型ハプティックコントローラーを用いることで、複数人ゲームにおいてプレイヤー間の意図伝達をどのように促進できるかを調査した研究について述べています。
研究の目的
- 複数人で共有するハプティックフィードバックが、ビデオゲームにおけるプレイヤー間のインタラクション、互いの意図を感知し反応する能力、そして全体的なゲームプレイ体験にどのような影響を与えるかを調査する。
- 特に、2人プレイの場合と3人以上でプレイする場合とで、これらの要素にどのような違いが生じるのかを明らかにする。
実験方法
- 2軸の力覚フィードバック付きジョイスティックを備えた、最大4人で利用可能なコントローラーシステムを開発。
- プレイヤーは、ジョイスティックの動きを共有することで、互いの操作を力覚フィードバックとして感じ取ることができる。
- ペンギンを操作して氷上を滑らせ、海に落ちないようにゴールを目指すゲーム「Sliding Penguin」を改造し、開発したコントローラーシステムで操作できるようにした。
- 150人以上の参加者を対象に、2つの展示会でシステムの体験会を実施。
- 参加者は、まず力覚フィードバックなしでゲームをプレイし、その後、ハプティック入力共有を有効にしてプレイした。
結果
- 2人プレイでは、ハプティックフィードバックがない場合、意図したとおりにペンギンを操作することが難しい場合があったが、ハプティック共有により、意図の衝突をすぐに感知することができた。
- 3人以上でプレイする場合、プレイヤーの反応は分かれた。コントローラーを通して他のプレイヤーの動きを知覚できることにより、自分の行動に自信が持てるようになったと感じる参加者もいれば、入力が同期されていることで共有責任を感じると答えた参加者もいた。また、共有しない方が自分の好みの進路を選びやすいと感じる参加者もいた。
結論
- ハプティックフィードバックの共有は、複数人ゲームにおいて、プレイヤーの行動や協力体制に影響を与える可能性がある。
- 2人プレイと3人以上でのプレイでは、インタラクションのパターンに違いが見られる可能性があり、2人プレイではより直接的なコントロールの交渉が見られ、複数人プレイではより複雑なグループダイナミクスが生じる。
- 今後の研究では、感覚共有が複数人ゲーム体験におけるプレイヤーのエンゲージメントとインタラクションをどのように高めることができるかについて、さらに調査する必要がある。
統計
150人以上の参加者がシステムを体験。
2人プレイと3人以上でのプレイで実験を実施。
引用
"In two-player scenarios, participants noted that without haptic feedback, they occasionally struggled to control the penguin as intended. However, with haptic sharing, they could immediately sense conflicts in intentions."
"In three or four-player scenarios, participants expressed different sentiments. Some felt more confident in their actions when they could perceive others’ movements through the controller. Others noted a sense of shared responsibility when input was synchronized, while some found it easier to choose their preferred direction without sharing."