核心概念
触覚刺激の強度知覚は、波形の形状、周波数、振幅、減衰などの複数の要因に影響を受ける。
書誌情報: Kuhara, T., Yukawa, H., & Tanaka, Y. (2023). Exploring Vibrotactile Intensity Perception with Multiple Waveform Parameters. Conference on Haptic Interaction.
研究目的: 本研究では、触覚刺激における波形パラメータが強度知覚に与える影響を調査することを目的とした。
方法: 本研究では、異なる波形パラメータを持つ触覚刺激を生成できるソフトウェア波形発生器を開発した。このシステムを用いて、正弦波、減衰正弦波、矩形波、減衰矩形波、減衰鋸歯状波の5種類の刺激を作成し、被験者6名に強度順にランク付けを依頼する実験を行った。
主な結果: 実験の結果、減衰波形は、測定された加速度値に関係なく、常に一定波形よりも強度が低く知覚されることが明らかになった。また、正弦波と矩形波の結果は、Verrillo [5] によって報告された結果と一致し、矩形波が最も強く、鋸歯状波が次に強く、正弦波が最も弱く知覚されることが示された。しかし、減衰波形については、Gescheiderら [6] の報告とは異なり、減衰形状や実験の制限により、知覚される強度に影響が出ることが示唆された。
結論: 本研究では、触覚刺激の強度知覚に影響を与える複数の波形パラメータを明らかにし、減衰波形が強度知覚に与える影響について新たな知見を得ることができた。
今後の研究: 今後は、各パラメータが触覚にどの程度影響を与えるかをさらに詳しく調査する必要がある。また、より多くの被験者を対象とした実験や、異なる振動アクチュエータを用いた実験を行うことで、本研究の結果の妥当性を検証する必要がある。
統計
減衰正弦波と減衰鋸歯状波の最大加速度はそれぞれ5.6 m/s²と15.1 m/s²であったが、知覚された強度はほぼ同じであった。
減衰矩形波の最大加速度は19.9 m/s²で、正弦波と矩形波よりも高かったが、知覚された強度はこれらの波形よりも低かった。
実験には、サンプリング周波数44.1 kHz、周波数200 Hz、持続時間0.5秒の波形が使用された。