核心概念
AIベースの意思決定支援システムは、医療従事者の診断の正確性と効率を向上させる可能性を秘めている一方で、人間の誤った判断をAIが誤って裏付けてしまう「誤った確認」によって確認バイアスが生じ、医療の質に悪影響を及ぼす可能性がある。
要約
AI支援医療診断における確認バイアス:計算病理学における事例研究
本稿は、計算病理学の分野において、AI支援システムが人間の意思決定に及ぼす影響、特に確認バイアスの発生と時間的制約との関連性について検証した研究論文である。
本研究は、AI支援システムが計算病理学における専門家の診断に確認バイアスを引き起こすかどうか、また時間的制約がこの現象にどう影響するかを調査することを目的とする。
28人の病理専門家を対象に、腫瘍細胞率(TCP)の推定を課題としたオンライン実験を実施した。参加者は、まず独自に、次に2週間のウォッシュアウト期間を経てAIのTCP予測の支援を受けながら、20個の組織画像パッチのTCPを推定した。各ラウンドの半分のスライドは、タイマーによる時間制限を設けた。AIの予測は、現実的な不正確さを反映するため、実際のAIモデルを用いて生成した。