核心概念
本稿では、大規模言語モデル(LLM)のセマンティックな利点を活用し、従来の逐次推薦システム(SRS)におけるロングテールユーザーとロングテールアイテム問題に対処する新しいフレームワーク、LLM-ESRを提案する。
参考文献: Qidong Liu, Xian Wu, Yejing Wang, Zijian Zhang, Feng Tian, Yefeng Zheng, Xiangyu Zhao. LLM-ESR: Large Language Models Enhancement for Long-tailed Sequential Recommendation.
研究目的:
本研究は、大規模言語モデル(LLM)の力を活用して、逐次推薦システム(SRS)におけるロングテールユーザーとロングテールアイテムの課題に対処することを目的としています。
手法:
LLM-ESRと呼ばれる新しいフレームワークが提案され、これは2つの主要なモジュールで構成されています。
デュアルビューモデリング: このモジュールは、LLM由来のセマンティック情報と、従来のSRSからのコラボレーション情報を組み合わせたものです。LLMから抽出されたアイテムとユーザーのセマンティック埋め込みは、セマンティックな類似性を捉えるために使用されます。これらの埋め込みは固定され、セマンティックな関係が維持されます。次に、アダプターを使用して、生のセマンティック空間を推薦空間に変換します。コラボレーションビューモデリングでは、学習可能なアイテム埋め込み層を使用して、インタラクションデータからコラボレーション信号を捉えます。最後に、2つのビューからのユーザー表現を融合して、最終的な推薦を生成します。
検索拡張自己蒸留: このモジュールは、類似ユーザーからの有益なインタラクションを通じて、ロングテールユーザーの表現を強化することを目的としています。まず、LLMユーザーの埋め込みを使用して、類似ユーザーを取得します。次に、デュアルビューモデリングを使用して、類似ユーザーのユーザー表現を取得します。最後に、取得した表現をガイダンス信号として使用して、ターゲットユーザーのシーケンスエンコーダーを自己蒸留によって強化します。
主な結果:
3つの実際のデータセット(Yelp、Amazon Fashion、Amazon Beauty)と3つの一般的なSRSモデル(GRU4Rec、Bert4Rec、SASRec)を用いた広範な実験により、LLM-ESRは、ロングテールユーザーとロングテールアイテムの両方で、既存のベースラインを一貫して上回ることが実証されました。この結果は、LLMのセマンティック情報をSRSに統合することの有効性を裏付けています。
結論:
LLM-ESRは、LLMのセマンティックな利点を活用することで、ロングテールユーザーとロングテールアイテムの課題に対処するための効果的かつ柔軟なフレームワークを提供します。このフレームワークはモデルに依存しないため、あらゆるシーケンス推薦モデルに適応できます。
意義:
この研究は、LLMを活用して従来のSRSの制限に対処するための新しい道を切り開き、ユーザーエクスペリエンスとセラーの利益の両方を向上させる可能性を秘めています。
制限と今後の研究:
この研究では、アイテムの属性と説明からLLMの埋め込みを抽出するために、事前にトレーニングされたLLMを使用しています。今後の研究では、推薦タスクのためにLLMを微調整したり、より複雑なプロンプトエンジニアリング技術を探求したりすることで、パフォーマンスをさらに向上させることができます。
統計
80%以上のユーザーが10個未満のアイテムとしかインタラクションしていません。
アイテムの約71.4%は、インタラクションレコードが30件以下です。