核心概念
仮想通貨ニュースメディアとインフルエンサーのTwitterの投稿から読み取れる売買シグナルは、主要な仮想通貨の価格変動と相関関係があり、特に上位3つの仮想通貨においては、過去24時間の集計された売買シグナルが、少なくとも6時間遅れて市場価格に影響を与えることが明らかになった。
要約
仮想通貨ニュースメディアとインフルエンサーのTwitter活動と市場価格の関係を探る
書誌情報: Alizadeh, M., Asgari, Y., Samei, Z., Yari, S., Dehghani, S., Kubli, M., ... & Gilardi, F. (2024). Exploring Relationships Between Cryptocurrency News Outlets and Influencers’ Twitter Activity and Market Prices. arXiv preprint arXiv:2411.05577v1.
研究目的: 本研究は、仮想通貨ニュースメディアとインフルエンサーのTwitter活動が、主要な仮想通貨の市場価格に与える影響を調査することを目的とする。
手法: 本研究では、2023年10月から2024年3月までの期間における、2,687人のインフルエンサーと74のニュースメディアのTwitterアカウントから収集した470,658件のツイート、および主要9つの仮想通貨の市場価格データを用いた。まず、ツイートデータから、ChatGPTを用いて無関係なツイートを除外し、CryptoBERTを用いて「買い」と「非買い」のシグナルを検出した。次に、共起ネットワーク分析と時系列分析を用いて、Twitter上の売買シグナルと仮想通貨の価格変動との関係を分析した。
主要な結果:
インフルエンサーはニュースメディアに比べて約9倍の頻度で仮想通貨に関するツイートを投稿している。
インフルエンサーとニュースメディアのツイートのうち、54%が「買い」シグナル、66%が「非買い」シグナルを示唆していた。
ツイートの44.4%は単一の仮想通貨名のみを含んでいた。
「買い」シグナルを含むツイートは、少なくとも1つの特定の仮想通貨に言及している傾向がある一方、「非買い」シグナルを含むツイートは、特定の仮想通貨に言及せず、一般的な市場状況や注意喚起に焦点を当てている傾向がある。
共起ネットワーク分析の結果、共起される仮想通貨の属性間には統計的に有意な相関関係が見られたが、その効果量は小さかった (0.17)。
短期的な市場ダイナミクスにおいては、SHIBを除くすべてのペアにおいて、相関値は一貫して0.3を超えていた。しかし、長期的なダイナミクスを調べると、いくつかのペアではゼロに近い、あるいは負の相関値を示した。
仮想通貨の価格とソーシャルシグナルの分析では、一部の仮想通貨は取引シグナルと正の相関を示したが、他の仮想通貨はゼロまたは負の相関を示すなど、まちまちの結果となった。
結論: 仮想通貨ニュースメディアとインフルエンサーのTwitter活動は、仮想通貨の市場価格にある程度の影響を与える可能性がある。特に、上位3つの仮想通貨においては、過去24時間の集計された売買シグナルが、少なくとも6時間遅れて市場価格に影響を与えることが明らかになった。
今後の研究: 今後の研究では、Reddit、Telegram、YouTubeなど、仮想通貨の支持者やインフルエンサーが活発に投稿している他のソーシャルメディアプラットフォームを対象とした調査や、本稿で見出された関係性を説明できるメカニズムの探求が期待される。
統計
2,687人のインフルエンサーと74のニュースメディアのTwitterアカウントを分析。
2023年10月6日から2024年2月28日までの間に投稿された470,658件のツイートを収集。
ツイートのうち、54%が「買い」シグナル、66%が「非買い」シグナルを示唆。
ツイートの44.4%は単一の仮想通貨名のみを含んでいた。
共起される仮想通貨の属性間の相関関係は0.17。