核心概念
本稿では、連合学習を用いてユーザーのプライバシーを保護しながら、効率的かつ堅牢な推薦システムを実現する新しい手法、RFRecとRFRecFを提案する。
論文情報
Langming Liu, Wanyu Wang, Xiangyu Zhao, Zijian Zhang, Chunxu Zhang, Shanru Lin, Yiqi Wang, Lixin Zou, Zitao Liu, Xuetao Wei, Hongzhi Yin, and Qing Li. 2024. Efficient and Robust Regularized Federated Recommendation. In Proceedings of the 33rd ACM International Conference on Information and Knowledge Management (CIKM ’24), October 21–25, 2024, Boise, ID, USA. ACM, New York, NY, USA, 10 pages. https://doi.org/10.1145/3627673.3679682
研究目的
ユーザーのプライバシー保護の重要性が高まる中、従来の中央集権型の推薦システムに代わる、連合学習を用いた効率的かつ堅牢な推薦システムの開発を目的とする。
手法
本稿では、連合型推薦システム(FedRS)における課題を解決するため、FedRS問題を正規化された経験的リスク最小化(RERM)問題として再定義する。そして、この問題を解決するために、ローカルGDを用いたRFRecと、非一様SGDを用いた高速版のRFRecFの2つの手法を提案する。
主な結果
RFRecとRFRecFは、既存のFedRS手法と比較して、4つのベンチマークデータセットにおいて優れた推薦性能を示した。
RFRecとRFRecFは、通信効率の面でも既存手法を上回り、特にRFRecFは非一様SGDを用いることで、より高い通信効率を実現した。
RFRecとRFRecFは、サーバー側での更新タスクを排除することで、クライアントの参加率が低い場合でも堅牢性を維持できる。
RFRecとRFRecFは、ローカル差分プライバシー(LDP)を用いることで、プライバシー保護の強化を実現した。
結論
本稿で提案されたRFRecとRFRecFは、ユーザーのプライバシーを保護しながら、効率的かつ堅牢な推薦システムを実現する有効な手法である。
意義
本研究は、連合学習を用いた推薦システムの分野において、プライバシー保護、効率性、堅牢性のバランスを向上させるための重要な貢献を果たしている。
限界と今後の研究
本稿では、ユーザーのフィードバックが明示的な評価データのみを対象としている。
今後は、暗黙的なフィードバックデータや、より複雑なユーザーモデルを用いた研究が期待される。
統計
4つのベンチマークデータセット(ML-100k、ML-1m、KuaiRec、Jester)を用いて評価
潜在特徴の次元数は𝑑=20
最大反復回数は𝐾=100
ペナルティパラメータは𝜆𝑢= 𝜆𝑣= 0.1
RFRecの学習率は𝛼= 0.05
RFRecFの学習率は𝛼= 0.025
ペナルティパラメータは𝜆= 10
閾値は𝑝= 0.5