核心概念
前立腺がんの強度変調放射線療法(IMRT)計画において、標的構造、リスク臓器、およびそれらの重複領域の体積のみを用いて、膀胱と直腸の線量体積ヒストグラム(DVH)を予測できる可能性が示唆された。
要約
研究論文の概要
書誌情報
Saha S, Banerjee D, Ram R, Reddy G, Guha D, Sarkar A, et al. Machine learning for prediction of dose-volume histograms of organs-at-risk in prostate cancer from simple structure volume parameters.
研究目的
本研究は、前立腺がんの強度変調放射線療法(IMRT)計画において、標的構造、リスク臓器(膀胱と直腸)、およびそれらの重複領域の体積のみを用いて、膀胱と直腸のDVHを予測することを目的とした。
方法
- 2015年から2017年の間に根治的意図の強度変調放射線療法を受けた局所進行前立腺がん患者94人の後方視的データセットを用いた。
- 線形回帰、決定木、ランダムフォレスト、Elastic Net、勾配ブースティング回帰、Extreme Gradient Boosting、サポートベクターマシン、多層パーセプトロン、ファジー規則ベース予測モデル、モンテカルロ法を含む10種類の機械学習モデルをトレーニングした。
- モデルの性能を評価するために、平均絶対誤差(MAE)を使用した。
主な結果
- 臨床的に重要な高線量範囲(4000〜6420 cGy)において、MAEは2〜3%以内の体積で正確なDVH予測を達成することができた。
- 5300 cGy、5600 cGy、6000 cGyの個々の線量点では、MAEは2%以内であった。
- モデルを比較した結果、ランダムフォレスト法は、単一の決定木ベースのモデルと比較して優れた予測性能を示した。
- ファジー規則ベース予測は、従来のモデリングアルゴリズムのレパートリーに有用で解釈可能な追加となる可能性がある。
結論
本研究は、DVH予測に対する単純な機械学習アプローチが正確な結果をもたらす可能性があり、前立腺がんIMRTの設定において幅広い応用が期待できることを示している。
意義
この研究は、従来の画像ベースの予測モデルよりもシンプルでリソース効率の高いDVH予測のための新しいアプローチを提供するものである。
限界と今後の研究
- トレーニングデータは、同様の制約と計画パラメータを使用して単一の施設内で行われた計画に基づいているため、他の施設からの外部データセットでは妥当性が制限される可能性がある。
- 中間線量範囲(2000〜3990 cGy)での予測精度は、低線量範囲または高線量範囲よりも低い。
- このモデルは、ボクセルベースの線量やハードウェアパラメータを提供するものではなく、治療計画プロセスに取って代わるものではない。
統計
平均絶対誤差は、膀胱で2.0%から3.7%、直腸で1.7%から2.4%の範囲であった(線量範囲4000〜6420 cGy)。
5300 cGy、5600 cGy、6000 cGyでは、直腸で2.5%未満、膀胱で3.8%未満であった。
ファジー規則ベース予測モデルでは、これらの線量レベルで、直腸でそれぞれ1.2%、1.3%、0.9%、膀胱で1.6%、1.2%、0.1%の誤差が生じた。
引用
「我々の知る限り、これは画像やセグメンテーションマスクを直接使用せずに、PTV、リスク臓器、およびそれらの重複領域の体積の測定のみを使用して、前立腺がんIMRTにおけるOARのDVHを予測しようとする最初の試みである。」
「臨床的により重要な高線量範囲(4000〜6420 cGy)において、MAEは体積の2〜3%以内で正確なDVH予測を達成することができた。」
「ファジー規則ベースの決定木を用いた予測は、全線量範囲で良好な性能を示し、使用した評価指標で同等の性能を示し、全線量範囲で誤差の分散が小さくなった。」