核心概念
本稿では、深層学習を用いて生成設計における膨大な設計候補から設計概念を自動的に抽出し、設計知識として構造化する手法を提案する。
要約
生成設計における深層概念識別フレームワーク
本論文は、深層学習を用いて生成設計における設計概念を識別するフレームワークを提案している。生成設計では、トポロジー最適化などを用いて設計空間内で多様な設計候補を生成するが、候補数の増加に伴い、設計者が適切な設計案を選択する認知的負荷が増大する。そこで、本フレームワークでは、深層学習を用いて設計候補を自動的に分類し、設計概念を抽出することで、設計者の認知的負荷を軽減することを目指す。
フレームワークの構成要素
- 設計候補の生成: トポロジー最適化などの生成設計手法を用いて、設計空間内で多様な設計候補を生成する。
- 深層概念の識別: 深層学習を用いて、生成された設計候補を潜在空間に埋め込み、クラスタリングを行うことで、設計概念を抽出する。具体的には、変分オートエンコーダ(VAE)の一種であるVaDEを用いて、設計候補の潜在表現を学習し、ガウス混合モデルに基づいてクラスタリングを行う。
- 設計知識としての表現: 抽出された設計概念を、設計者が理解しやすい形で表現する。具体的には、決定木を用いて、各設計概念の特徴を階層的に表現する。
実験と考察
提案手法を、橋梁構造の簡略化された設計問題に適用し、その有効性を検証した。2次元設計空間において、様々な支持条件と体積率の下でトポロジー最適化を行い、209個の設計候補を生成した。生成された設計候補をVaDEを用いてクラスタリングし、5つの設計概念を抽出した。さらに、決定木を用いて、各設計概念の特徴を表現した。
結果
実験の結果、提案手法は、橋梁構造の設計問題において、設計概念を効果的に抽出できることが示された。具体的には、以下のような設計概念が抽出された。
- 上部の領域に材料が集中し、支持点の位置が低い設計案
- 下部の領域に材料が集中し、支持点の位置が高い設計案
- 上部の領域に材料が集中している設計案
- 支持点の位置が高い設計案
結論
本論文では、深層学習を用いて生成設計における設計概念を自動的に抽出し、設計知識として構造化する手法を提案した。提案手法は、設計者の認知的負荷を軽減し、設計空間 exploration を促進する効果が期待される。
今後の課題
- 3次元設計空間への拡張
- 設計概念の解釈性の向上
- 設計空間 exploration への活用
統計
本実験では、2次元設計空間において、様々な支持条件と体積率の下でトポロジー最適化を行い、209個の設計候補を生成した。
生成された設計候補をVaDEを用いてクラスタリングし、5つの設計概念を抽出した。
潜在変数の次元数を決定するために、2次元から20次元までのVAEモデルの再構成誤差を比較した結果、5次元以上では有意な改善が見られなかったため、潜在変数の次元数を5に設定した。