核心概念
本稿では、客観的なテスト問題に適した従来の知識追跡モデルの限界に対処するため、主観的評価と客観的評価の両方のデータを統合した新しい知識追跡モデルを提案する。
要約
本稿は、主観的評価と客観的評価の両方に対応する統合知識追跡フレームワーク(UKTF)を提案する研究論文である。
背景
- オンライン学習プラットフォームの普及に伴い、学習者の個別ニーズに合わせた学習支援が求められている。
- 知識追跡技術は、学習者の過去の回答データに基づいて知識状態モデルを構築し、個別評価を可能にする。
- 従来の知識追跡モデルは客観テスト問題に適しているが、主観テスト問題への適用には課題がある。
研究の目的
本研究は、客観テストと主観テストの両方のデータを活用し、両方のタイプのテスト問題を統合した知識追跡モデルを提案することを目的とする。
提案手法
- 本研究では、DKT、DKVMN、GKTの3つの古典的な知識追跡モデルをベースラインとして採用する。
- 客観テスト問題に対しては、回答が二値であることから、分類問題としてモデルを学習させる。
- 主観テスト問題に対しては、多値の離散分布に従うことから、回帰問題としてモデルを学習させる。
- 主観テスト問題に対して、モデルの学習方法の変更、分岐ネットワークの追加、問題符号化の最適化を行う。
実験と結果
- 実データセットを用いて実験を行った結果、提案モデルは客観テストと主観テストの両方において効果的に知識を追跡できることが示された。
- 特に、知識点間の関係が明確で論理的なデータセットにおいて、GKTモデルは高い予測性能を示した。
結論
本稿で提案する統合知識追跡モデルは、客観テストと主観テストの両方のデータを活用することで、学習者の知識状態をより包括的に評価し、個別指導のための信頼性の高い支援を提供できる。
今後の課題
- 主観テスト問題に対するモデルの調整方法や予測方法には、まだ改善の余地がある。
- 今後の研究では、主観テスト問題の特徴をより効果的に捉えることができるモデルの開発が期待される。
統計
Assist09データセットのAUCは0.798を達成。
Object-MathデータセットにおけるDKVMNモデルのAUCは0.862を達成。
Object-MathデータセットにおけるGKTモデルのAUCは0.845を達成。
Subject-BiologyデータセットにおけるDKTモデルのACCは0.905を達成。
Subject-MathデータセットにおけるGKTモデルのACCは0.960を達成。
引用
「従来の教育評価システムは、一般的にテストの点数によってのみ学習者の認知能力を評価する傾向があり、実際の知識状態を総合的に考慮できていない。」
「知識追跡技術は、学習者の過去の回答データに基づいて知識状態モデルを構築することで、学習者を個別評価することを可能にする。」