核心概念
本稿では、従来の物理モデルと深層学習の利点を組み合わせた、EEGデータからの脳波源推定のための新しいハイブリッド手法、3D-PIUNetを提案する。
要約
3D-PIUNet: 物理法則に基づく深層学習を用いた脳波源推定
本論文は、脳波データから脳波源を推定する新しい手法である3D-PIUNetを提案する研究論文である。
脳波(EEG)は、脳の活動を非侵襲的に計測できる有効な手段であるが、頭皮上で計測された信号から、脳内の活動源を特定する「脳波源推定問題」は、その信号の複雑さゆえに、非常に困難な課題として知られている。本研究は、従来手法の限界を克服し、より正確かつロバストな脳波源推定を実現する新しい手法を開発することを目的とする。
本研究では、従来の物理モデルと深層学習の利点を組み合わせたハイブリッドなアプローチを採用している。具体的には、以下の3つの要素技術を統合した新しい脳波源推定モデル3D-PIUNetを提案する。
物理法則に基づく初期推定: 従来手法であるeLORETAの疑似逆解を用いることで、物理法則に基づいた脳波源の初期推定を行う。
3D畳み込みニューラルネットワーク: 脳を3次元空間として捉え、3D畳み込みU-Netを用いることで、空間的な依存関係を捉え、学習データに基づいて疑似逆解を洗練化する。
データ駆動型学習: 様々な脳波源分布を網羅したシミュレーションデータを用いてモデルの学習を行うことで、現実の脳波データにも対応可能な汎用性の高いモデルを構築する。