書誌情報:
Sander, L. M. (2024). Kuramoto Oscillators With Asymmetric Coupling. Physical Review E, 110(4), 044401.
研究目的:
本研究は、神経科学におけるヘブ学習に触発された、非対称結合を持つ蔵本発振器の簡略化されたモデルを調査することを目的とする。特に、速い発振器(高い固有周波数を持つ)が遅い発振器を駆動するが、逆は起こらないという、完全に非対称な結合の場合における周波数同期の出現を調べる。
方法:
本研究では、位相遅延を持つ結合振動子の蔵本モデルを基礎として、結合強度が振動子の周波数の大小関係によって決定される非対称結合行列を導入した。数値シミュレーションを用いて、異なる結合強度における振動子の長期的な挙動を分析した。特に、位相遅延がπ/2(タイプ1振動子)と0(タイプ2振動子)の場合に焦点を当て、周波数同期と位相差のパターンを調べた。
主な結果:
結論:
本研究の結果は、非対称結合を持つ蔵本発振器モデルにおいて、位相遅延の有無にかかわらず周波数同期が生じることを示唆している。これは、従来の蔵本モデルでは見られない現象であり、神経系におけるヘブ学習のような非対称な相互作用を伴う系における同期現象を理解する上で重要な意味を持つ。
意義:
本研究は、非対称結合を持つ蔵本発振器モデルの挙動を明らかにすることで、神経科学における同期現象の理解に貢献するものである。特に、ヘブ学習のような非対称なシナプス可塑性が神経回路網のダイナミクスに与える影響を理解する上で、本研究の知見は有用であると考えられる。
限界と今後の研究:
本研究では、完全に非対称な結合を持つ単純化されたモデルを用いたため、より現実的な神経回路網における同期現象を理解するためには、結合の対称性やノイズの影響などを考慮した、より複雑なモデルを用いた研究が必要である。
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