核心概念
血管造影パラメトリックイメージング(API)と機械学習(ML)を用いることで、頭蓋内動脈瘤治療におけるフローダイバーター(FD)の術中選択を最適化できる可能性がある。
要約
研究論文の概要
書誌情報
Mondal, P., Bhurwani, M. M. S., Williams, K. A., & Ionita, C. N. (2023). Intra-operative Optimal Flow Diverter Selection for Intracranial aneurysm treatment using Angiographic parametric imaging: Feasibility study. Journal of NeuroInterventional Surgery, 15(Supplement_1), e112.1-e112.1. https://doi.org/10.1136/neurintsurg-2022-018816
研究目的
本研究は、術前の血管造影パラメトリックイメージング(API)データに基づいて、頭蓋内動脈瘤(IA)治療におけるフローダイバーター(FD)の最適な選択を予測できるかどうかを調査することを目的とした。
方法
- 6か月後のフォローアップで完全な閉塞を示したIAの術前血管造影シーケンス128件を分析した。
- 動脈瘤ドームから5つのAPIパラメータ(平均通過時間(MTT)、ピーク時間(TTP)、到達時間(TTA)、ピーク高さ(PH)、曲線下面積(AUC))を抽出し、供給動脈の対応するパラメータに正規化した。
- データセットを、FD/近位動脈径比に基づいて、比が1未満の場合、または複数のFDが使用された場合はアンダーサイズ、それ以外はオーバーサイズとして二分した。
- 単一のAPIパラメータと機械学習(ML)分析を使用して、APIパラメータがFDのアンダーサイズ化(すなわち、血流抵抗の増加)の必要性を判断するために使用できるかどうかを判断した。
- 分類精度は、受信者動作特性曲線の下の面積(AUROC)を使用して評価した。
主な結果
- 単一のAPIパラメータ分析では、AUROCは約0.5と不十分であったが、5つすべてのAPIパラメータを使用した機械学習では、AUROCは0.72±0.02であった。
- 正規化された到達時間(NI-TTA)と正規化されたピーク高さ(NI-PH)は、アンダーサイズ群とオーバーサイズ群間で有意な差を示した(p値はそれぞれ0.47と0.31)。
結論
術前のAPIデータに基づく機械学習は、動脈瘤の閉塞率を向上させるために、FD選択を最適化するのに役立つ可能性がある。
意義
この研究は、IA治療における個別化医療のアプローチに向けて、APIとMLを統合した新規の試みである。この方法は、術中の意思決定を支援し、より良い臨床転帰につながる可能性がある。
制限事項と今後の研究
この研究は、単一施設の後ろ向き研究である。これらの知見を検証し、予測精度をさらに向上させるためには、より大規模な多施設研究が必要である。
統計
アンダーサイズコホートには51症例、オーバーサイズコホートには77症例が含まれていた。
機械学習アルゴリズムの平均AUROCは、5分割モンテカルロ交差検定後、0.72±0.02(範囲0.71~0.75)であった。
到達時間(TTA)は、AUROCが0.604と、ある程度の予測可能性を示した。
引用
"CFDシミュレーションは、デバイスのアンダーサイズ化が必要かどうかを推奨することで解決策を提供できますが、時間と費用がかかり、術中の意思決定には適していない可能性があります。"
"この研究では、このアプローチを拡張し、初期(つまり、デバイス留置前)のAPIデータのみに基づいてデバイス留置の推奨を行うことが可能かどうかを判断することを提案します。"
"DNNは、正規化されたデータとともに使用した場合、90%の精度と0.72±0.02のAUCを示し、良好なパフォーマンスを発揮しました。"