本論文は、可積分量子多体系であるルール54細胞オートマトンにおける、対称性分解エンタングルメントとエンタングルメント非対称性の非平衡ダイナミクスを解析した研究論文である。
非平衡量子多体系におけるエンタングルメントのダイナミクスは、近年、注目を集めている研究分野である。特に、量子クエンチ後のエンタングルメントエントロピーの時間発展は、可積分系と非可積分系で異なる振る舞いが見られ、系の熱平衡化との関連性が議論されている。
本研究では、ルール54細胞オートマトンをモデル系として、系の対称性を考慮したエンタングルメントのダイナミクスを解析した。具体的には、対称性分解エンタングルメントとエンタングルメント非対称性の時間発展を、レプリカトリックを用いて電荷モーメントで表現し、その漸近的な振る舞いを解析した。
電荷モーメントは、空間方向の転送行列を用いて表現され、その固定点の性質から、電荷モーメントの漸近的な振る舞いが決定されることがわかった。特に、短時間領域において、電荷モーメントは指数関数的に減衰し、その減衰率は3次方程式の解で与えられることが示された。
本研究の結果は、可積分量子多体系における対称性分解エンタングルメントとエンタングルメント非対称性の非平衡ダイナミクスを理解する上で重要な知見を与える。また、本研究で用いられた解析手法は、他の可積分量子多体系にも応用可能であり、今後の発展が期待される。
他の言語に翻訳
原文コンテンツから
arxiv.org
深掘り質問