核心概念
中性原子ベースの量子コンピュータ向けに、アイドル状態の量子ビットを励起ノイズから保護するゾーンドアーキテクチャが提案され、従来のモノリシックアーキテクチャと比較して大幅な忠実度向上が実現された。
要約
中性原子に基づくゾーンド量子アーキテクチャ向けの、再利用を意識したコンパイル手法
書誌情報: Wan-Hsuan Lin, Daniel Bochen Tan, and Jason Cong. Reuse-Aware Compilation for Zoned Quantum Architectures Based on Neutral Atoms. arXiv:2411.11784v1 [quant-ph] 18 Nov 2024.
研究目的: 本論文では、中性原子ベースの量子コンピュータにおける、量子ビットの配置や移動を最適化することで、回路の忠実度を向上させることを目的とする。
手法: ゾーンドアーキテクチャと呼ばれる、エンタングルメントゾーンとストレージゾーンを分離したアーキテクチャを採用し、アイドル状態の量子ビットをリドベルグ励起から保護する。さらに、量子ビットの再利用を考慮した配置戦略と、複数のAODを用いた負荷分散スケジューリングを提案する。
主な結果: 提案手法であるZACは、モノリシックアーキテクチャと比較して最大22倍、既存のゾーンドアーキテクチャ向けコンパイラであるNALACと比較して4倍の忠実度向上を実現した。
結論: ゾーンドアーキテクチャとZACを用いることで、中性原子ベースの量子コンピュータにおいて、大幅な忠実度向上が見込める。
意義: 本研究は、大規模な量子コンピュータの実現に向けて、中性原子ベースの量子コンピュータの性能向上に大きく貢献するものである。
限界と今後の研究: 本研究では、特定のハードウェア構成を前提としているため、より汎用的なコンパイラの開発が今後の課題として挙げられる。
統計
ゾーンドアーキテクチャを採用したZACは、モノリシックアーキテクチャと比較して最大22倍の忠実度向上を実現した。
ZACは、既存のゾーンドアーキテクチャ向けコンパイラであるNALACと比較して4倍の忠実度向上を実現した。
ZACは、Atomiqueと比較して平均10%、NALACと比較して平均55%、回路実行時間を短縮した。