本論文は、量子誤り訂正符号、特にバイバリエートバイサイクル(BB)符号の新規サブクラスを提案する研究論文である。BB符号は、量子コンピューティングにおいて重要な役割を果たす量子LDPC符号の一種であり、その効率的な構築手法は、フォールトトレラント量子コンピューティングの実現に向けて重要な課題である。
量子情報は、その保存と操作中にエラーの影響を受けやすく、量子回路の量子ビット数が増加するにつれて、エラーの頻度も増加する。そのため、量子誤り訂正(QEC)は、現在のノイズの多い中間規模量子(NISQ)時代から、フォールトトレラント量子(FTQC)コンピューティングの次の時代へ進むための礎石となる。QEC符号の中でも、量子低密度パリティ検査(qLDPC)符号は、その低重みスタビライザー、低オーバーヘッド、高閾値により、注目を集めている。
従来のBB符号は、そのパラメータが符号発見前に不明であるため、効率的な符号探索が困難であった。また、符号探索の計算コストが高く、大規模な符号への適用が難しいという課題もあった。
本論文では、互いに素な二変数バイサイクル(BB)符号を用いた、効率的な量子誤り訂正符号の構築手法を提案する。従来のBB符号とは異なり、提案手法では、数値探索アルゴリズムへの入力として因子多項式を指定することで、符号レートを事前に決定することができる。
提案する互いに素な二変数バイサイクル符号は、従来のBB符号とは異なり、生成変数xとyの積xyを用いて多項式を構成する。これにより、符号レートを事前に決定することが可能となり、効率的な符号探索が可能となる。
本論文では、互いに素な二変数バイサイクル符号に基づいた、効率的な符号探索アルゴリズムを提案する。提案アルゴリズムは、特定の多項式の組み合わせを除外することで、探索空間を削減し、高速な符号探索を実現する。
提案手法を用いて、いくつかの興味深い互いに素なBB符号を発見した。例えば、[[126, 12, 10]]符号は、従来の[[144, 12, 12]]符号よりも少ない量子ビット数で、同程度の誤り訂正能力を実現する。
本論文では、互いに素な二変数バイサイクル符号を用いた、効率的な量子誤り訂正符号の構築手法を提案した。提案手法は、従来のBB符号の課題を克服し、フォールトトレラント量子コンピューティングの実現に向けて重要な貢献をするものである。
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