核心概念
本稿では、超伝導量子コンピュータの大規模化における課題である、量子ビット読み出しの効率化に向けて、複数の超高感度ボロメータを単一チップ上で周波数多重化して読み出す技術の実証について述べています。
要約
超高感度ボロメータの多重読み出し:量子コンピューティングにおけるブレークスルー
本稿は、単一チップ上で複数の超高感度ボロメータの励起と読み出しを多重化することに成功した実験的研究論文である。
本研究の目的は、大規模な超伝導量子コンピュータの実現に向けた、量子ビット読み出しの多重化技術の開発である。従来の読み出し方式では、量子ビット数増加に伴いマイクロ波アイソレータや増幅器などの資源が膨大になることが課題であった。本研究では、超高感度な超伝導-常伝導-超伝導(SNS)ボロメータを用い、その入力とプローブ信号を周波数多重化することで、これらの資源を大幅に削減することを目指した。
研究チームは、単一チップ上に3つのSNSボロメータを作製し、それぞれに周波数多重化された入力およびプローブ回路を設計した。各ボロメータの吸収体入力には、4.4 GHzから7.6 GHzの範囲で動作するオンチップフィルターを配置し、個別に励起できるようにした。プローブ周波数は150 MHzから200 MHzの範囲に設定し、量子ビットの読み出し周波数と十分に離した。