核心概念
2脚はしご上のハードコアボソン系において、相互作用のダイマー化を導入することで、rung hopping や rung interaction との競合により、rung-Mott insulator 相、トポロジカル bond order 相、charge density wave 相の間で相転移が生じることが明らかになった。
要約
本論文は、2脚はしご上のハードコアボソン系における相互作用駆動型トポロジカル相転移を数値計算を用いて調べた研究論文である。
研究目的
本研究は、2脚はしご上のハードコアボソン系において、最近接相互作用のダイマー化が系のトポロジカル相転移に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。特に、rung hopping や rung interaction との競合により、どのような相転移が生じるかを明らかにする。
研究方法
本研究では、密度行列繰り込み群(DMRG)法を用いて、系の基底状態の性質を数値的に調べた。具体的には、系のエネルギーギャップ、エッジ状態の存在、ボンドオーダー構造因子、ストリングオーダーパラメータ、エンタングルメントスペクトルなどを計算した。また、Thouless 電荷ポンプを用いて、トポロジカル相の動的な特徴を調べた。
結果
staggered dimerization の場合
- rung interaction がない場合 (Vp = 0)、dimerization strength (λ) を増加させると、trivial な rung-Mott insulator (RMI) 相からトポロジカルな bond order (BO) 相への相転移が起こる。
- 一方、λ を固定して rung hopping (tp) を増加させると、トポロジカル BO 相から RMI 相への相転移が起こる。
- rung interaction を導入すると (Vp ≠ 0)、λ の値に応じて、BO 相が RMI 相または charge density wave (CDW) 相へ転移する。
uniform dimerization の場合
結論
2脚はしご上のハードコアボソン系において、相互作用のダイマー化を導入することで、rung hopping や rung interaction との競合により、RMI 相、トポロジカル BO 相、CDW 相の間で豊かな相転移が生じることが明らかになった。
意義
本研究は、相互作用するトポロジカル系の理解を深める上で重要な知見を提供するものである。特に、本研究で得られた結果は、冷却原子系などの量子シミュレータを用いた実験で検証可能であると考えられる。
今後の課題
- dimerization pattern や interaction strength を変化させた場合の相図を詳細に調べる。
- 有限温度におけるトポロジカル相転移の性質を調べる。
- 実験系における実現可能性を検討する。
統計
λ ∼ 3.3で相転移が起こる。
λ = 4 のとき、トポロジカル相から RMI 相への相転移は、臨界 rung-hopping 強度 tc
p ∼ 1.2 で起こる。
λ = 2 のとき、Vp を増加させてもトポロジカル相は現れない。
λ = 4 のとき、Vp を増加させると、Vp ∼ 0.4 で BO 相から RMI 相への相転移が起こる。
λ = 6 のとき、Vp を増加させると、Vp ∼ 1.7 で BO 相から CDW 相への相転移が起こる。