核心概念
GRBSN Webツールは、ガンマ線バースト(GRB)と超新星(SN)の関連性を網羅的に調査するために開発された、オープンソースで公開されている貴重なリソースである。
本稿では、ガンマ線バースト(GRB)と超新星(SN)の関連性に関する情報を集約した、オープンソースのWebツール「GRBSN」を紹介する。GRB-SN関連性の研究に必要な、多岐にわたる波長データ(電波、X線、可視光/近赤外線など)を包括的に収集・整理し、研究者にとってアクセスしやすい形で提供することを目的としている。
データベースの現状と課題
GRB-SN関連性の研究において、多波長観測データは不可欠である。しかし、既存のデータベースやWebツールは、SNまたはGRBのいずれかに焦点を当てたものが多く、関連性を統合的に調べるには、複数のソースを参照する必要があり、非効率であった。例えば、Open Supernova Catalogは可視光・分光データを提供するが、GRB-SN関連性の全サンプルを表すものではなく、X線や電波データは含まれていない。
GRBSN Webツールの特徴
GRBSN Webツールは、これらの問題を解決するために開発された。主な特徴は以下の通りである。
網羅的なデータ: 2023年末までに確認された61件のGRB-SN関連性データ(分光学的確認、測光的確認、オフ軸GRBを含む)を網羅的に収集。
多波長データ: 各GRB-SN関連性について、多波長光度曲線、SNとGRBの両方のバルクパラメータを含む。
ユーザーフレンドリーなインターフェース: データの閲覧、グラフのインタラクティブな操作、データのダウンロードが容易に行える。
オープンソース: GitHub上で公開されており、ユーザーは自身のデータのアップロード、不足データの報告、改善提案が可能。
GRB-SN関連性研究への貢献
GRBSN Webツールは、GRB-SN関連性の研究を大幅に促進する。データへのアクセスが容易になることで、研究者はより多くの時間を分析や解釈に費やすことができる。また、データの標準化により、異なる研究グループ間のコラボレーションも促進される。
今後の展望
今後は、データの可視化機能の強化、データ標準化の推進、APIの開発、コミュニティベースでのカタログの維持・更新などが予定されている。GRBSN Webツールは、GRB-SN関連性の研究において、今後ますます重要な役割を果たすことが期待される。
統計
2018年にZTFの運用が始まって以来、Ic-BL型超新星の検出数が大幅に増加している。
年間約1~2件のGRB-SN事象が確認されている。
GRB-SNの電波データは、モニタリングの不足や公開データの不足により、入手できない場合が多い。
GRBSN Webツールには、現在61件のGRB-SN関連性が登録されている。
これらの事象は、分光学的に確認された超新星を持つGRBが29件、測光学的に確認された超新星を持つGRBが31件、Ic-BL型超新星との関連性によって検出されたオフ軸GRBが1件の3つのカテゴリーに分類できる。