本論文は、ステイヤー(処理を受けないグループ)が存在しない異質的導入デザイン(HAD)における処理効果の推定について考察しています。HADとは、すべてのグループが第1期には未処理で、第2期には正の処理を受けるが、その量がグループによって異なるデザインです。
従来、このようなデザインでは、2方向固定効果(TWFE)回帰が用いられてきました。しかし、TWFE回帰は、処理効果が処理変数と平均的に独立しているという強い仮定の下でのみ、明確に定義された効果を推定することが示されています。
本論文では、この仮定を検証するための検定を提案しています。この検定が棄却された場合や検出力がない場合には、処理効果の異質性に対して頑健な代替推定量が提案されています。
準ステイヤーとは、第2期の処理量が0に近いグループのことです。準ステイヤーが存在する場合、頑健な推定量は、第2期の処理量がバンド幅以下のグループを対照群として用いた差の差(DID)推定量となります。
準ステイヤーが存在しない場合、本論文では、非パラメトリックな上下限と、処理効果の異質性に関するパラメトリックな関数形式の仮定に基づく推定量が提案されています。
本論文の貢献は、以下の3点にまとめられます。
本論文の限界点としては、以下の点が挙げられます。
今後の研究としては、以下の点が挙げられます。
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