核心概念
スピン軌道結合と磁場勾配を調整することで、スピン1ボーズ・アインシュタイン凝縮体の基底状態を任意の励起状態へと転移させることが可能である。
要約
スピン軌道結合を持つスピン1ボーズ・アインシュタイン凝縮体における基底状態の相転移
本論文は、スピン軌道結合(SOC)と磁場勾配が共存する環境下における、スピン1ボーズ・アインシュタイン凝縮体(BEC)の基底状態(GS)の相転移現象を理論的に解析した研究論文である。
解析対象は、一次元系におけるスピン1の$^{87}$Rb BECである。
SOCと磁場勾配の強度をそれぞれβ、αとして導入し、数値計算と解析計算を組み合わせてGSの振る舞いを調べた。
線形系(相互作用なし)において、β = αの条件下で厳密解を導出し、GSがβの値に応じて異なる励起状態へと転移することを明らかにした。
非線形系(斥力相互作用、引力相互作用あり)においても、数値計算によりGSの相転移現象を確認した。
斥力相互作用の存在下では、GSは偏極状態に近づき、磁化が抑制される傾向が見られた。
引力相互作用の存在下では、GSは強磁性状態に近づき、特に強い引力相互作用下では、空間的に局在したエッジ状態が形成されることを示した。
さらに、二次ゼーマン効果の影響についても考察し、その強度に応じてGSの相転移現象が抑制されることを明らかにした。