核心概念
本研究では、ハイ スループット計算スクリーニングを用いてWS$_2$における有望な量子欠陥を特定し、その一つであるCo$_S$欠陥を実際に作製、特性評価することで、計算による予測と実験結果の一致を示し、量子情報科学における材料設計への新たな道を示した。
要約
WS$_2$における置換量子欠陥の発見と作製:ハイ スループット計算スクリーニングとサイト選択的STM操作
本論文は、量子情報科学への応用が期待される二次元材料中の量子欠陥に関する研究論文である。遷移金属ジカルコゲニドであるWS$_2$を対象に、ハイ スループット計算スクリーニングを用いて、バンドギャップ内に局在準位を持ち、可視光または通信波長域で光学遷移を示す、有望な量子欠陥の探索を行った。
ハイ スループット計算スクリーニング: 700種類を超える、タングステンまたは硫黄サイトへの置換によって形成される荷電欠陥について、密度汎関数理論(DFT)に基づく第一原理計算を用いて、構造緩和、形成エネルギー、スピン状態、単一粒子エネルギー準位、遷移双極子モーメントなどを計算した。
欠陥作製: 走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて、WS$_2$に硫黄空孔を作製し、コバルト原子を堆積した後、STM探針操作によりコバルト原子を硫黄空孔に置換することで、Co$_S$欠陥を作製した。
特性評価: STM/STSを用いて、作製したCo$_S$欠陥の電子構造を測定し、計算結果と比較した。